この記事をまとめると
■世界初の量産ハイブリッド「トヨタ・プリウス」が登場してすでに26年が経過した
■世界初のハイブリッド機構を搭載したのは1900年にポルシェが開発した車両だった
■現在新車で販売されているクルマにはさまざまな種類のハイブリッドが存在している
ひと口にハイブリッドって言ってもどのくらいの種類があるの?
「21世紀に間に合いました」というセンセーショナルなキャッチコピーで、世界初の量産ハイブリッド乗用車として1997年10月に誕生したトヨタ・プリウス。すでに26年もの月日が流れているんですね。その後すぐにホンダ・インサイトも発売されて、両社を筆頭とするハイブリッドカー戦線がスタートしていきます。
もうすぐ、21世紀も四半世紀に達するというところで、ここまでのハイブリッドカーの進化を振り返りつつ、最新のハイブリッドカーはどうなっているのか。今一度、おさらいしてみたいと思います。
というのも、多くの人が「世界で初めてのハイブリッドカーはプリウスだ」と思っているかもしれませんが、そもそもそれは間違いなのです。冒頭で「量産」と「乗用車」という言葉をつけたことには理由があって、じつは世界で初めてハイブリッドカーを完成させたのは、フェルディナント・ポルシェ博士。そう、あのポルシェの創始者です。
ポルシェ博士は優れた自動車設計技師でもあり、1900年に「ローナー・ポルシェ」というクルマを発表しました。これはホイールハブで駆動力を発生させる電気自動車で、同じ年には、バッテリーで動くホイールハブの駆動システムをガソリンエンジンと組み合わせた、シリーズ方式のハイブリッドカー「ローナー・ポルシェ Semper Vivus」が誕生。これが世界初のハイブリッドカーだと言われています。
ただしそのモデルは、当時のクルマではスタンダードだった馬車から発展したようなオープンホイールにオープンキャビン。そして、一般庶民が乗れるような価格でもないのは当然の話です。その97年後に誕生した量産車のプリウスは、より快適な室内空間と実用性、脅威的な低燃費で手頃な価格を実現したという点で、世界におけるハイブリッド元年の牽引役となった歴史的な存在といっていいでしょう。
さて、ひと口にハイブリッドカーと言っても、そのシステム方式には大きく分けて3種類あります。プリウスはシリーズ・パラレル方式(スプリット方式)と呼ばれています。
まずシリーズ方式から見ていきましょう。これは、エンジンを完全に発電機として使うために搭載し、バッテリーに蓄電した電力のみを使って駆動するというもの。走行中はBEVなどと変わらず100%モーター走行となります。日産ノートなどに搭載されている「e-POWER」が代表的ですね。
続いて前述のパラレル方式。これは、エンジンが主役でモーターはアシストが主流というもの。発進時や強い加速時など、エンジンに大きな負荷がかかる場合にモーターが駆動し、サポートして燃料の消費を抑えています。短い距離ならEV走行が可能なモデルもあります。システムが軽量でコストが抑えられ、エンジン特有の走りも維持できるため、スポーツカーやSUV、スペシャリティカーにも多く採用されています。スバルや輸入ブランドはパラレル方式が多い印象です。
そしてシリーズ・パラレル方式(スプリット方式)は、走行状態によってエンジンとモーターを最適に使い分け、モーターのみのEV走行も可能。燃費の良さだけでなく、ほしいところでの十分な加速フィールや静かさ、高速道路での快適性などが手に入るので、近年ではトヨタだけでなくホンダの2モーターハイブリッド「e:HEV」、ルノーのフルハイブリッド「E-TECH HYBRID」など、採用するメーカーが増えています。
さらに、軽自動車には「マイルドハイブリッド」と呼ばれるものもありますが、これはモーター機能を持つ発電機で、エンジンの始動や発進時の加速をアシストすることで、燃費アップを助けるというシステム。部品が少なく、小型で軽量ですが、モーターのみでのEV走行はできません。そのため、マイルドハイブリッドに対して、上記の3タイプはストロングハイブリッドとも呼ばれています。