
この記事をまとめると
■関越道や名古屋高速の第1車線部に緑色の区画線がお目見えしている
■法的拘束力はないが第1車線のクルマのキープレフトを促すための車線境界線となっている
■車線キープグリーンラインは渋滞解消や事故の軽減に役立つことが証明されている
車線キープグリーンラインに法的拘束力はない
道路の中央線と車線境界線といえば、「白色の実線」、「白色の破線」、「黄色の実線」の3種類が基本だが、最近、関越道や名古屋高速で、合流地点の第1車線部に緑色の区画線がお目見えしている。これは「車線キープグリーンライン」と呼ばれるもので、道路交通法で定められたラインではないので、法的拘束力はいまのところない。
では何のために緑色のラインを引くことになったのか?
NEXCO東日本ではその目的について「車線キープグリーンラインに沿って第1車線のクルマがキープレフトを続けていただくことで、追越車線への車両の集中や無理な車線変更が抑制され、渋滞や事故の軽減が期待できます。また、ランプからの緑線に沿って走行すると自然と正しい方向で本線に合流できるため、逆走対策の効果も期待できます」と説明している。
実際、令和3年7月より、関越道(下り)東松山IC付近において、車線キープグリーンラインの試行を始めるにあたり、平成29年10~11月の休日に、LED標識を設置し、走行車線の利用を呼びかける走行車線の利用促進による渋滞対策実験を行ったところ、車線が均等に使われるようになり、追越車線の利用が減ったことで、最大22kmもあった渋滞が、10kmまで短縮され、たしかな渋滞軽減効果が確認できたという。
また、名古屋高速では、2022年11月、都心環状線・鶴舞南JCT合流部付近に「車線キープグリーンライン」を初導入。その結果、合流直後の車線変更が約2割も減って、急ブレーキ発生回数が約2割減少、交通事故の発生件数も約3割減少するといった顕著な効果が実証された。
このように、「車線キープグリーンライン」は、渋滞解消や事故の軽減に役立つことが証明されたので、今後はほかの高速道路でもおそらく普及していくことだろう。
繰り返しになるが、いまのところ法的拘束力はないので、「車線キープグリーンライン」を跨いだり、踏んだりしても違反にはならないが、高速道路会社側の意図を理解して、ドライバーのマナーとしてこの「車線キープグリーンライン」に沿って走行し、事故と渋滞を減らすことに協力しよう。
余談だが、車線境界線といえば、2021年以降、交差点の手前に「オレンジ色の矢羽根」の車線境界線が新設されたところがある。
この「オレンジ色の矢羽根」は、交差点直近における急な進路変更の防止を目的とした「進路変更禁止の注意喚起表示」で、これもまた「車線キープグリーンライン」と同じく、法定外表示の車線境界線なので、法律的にはこの境界線上で車線変更をしても違反にはならない。