
この記事をまとめると
■2階建てバスはダブルデッカーと呼ばれており観光地で活躍している
■三菱ふそうからは「エアロキング」なる2階建てバスが販売されていた
■排気量2万ccを超えるエンジンを搭載しており生産を終えた今でも根強いファンが多い
2階建てバス「エアロキング」とは
路線バスや観光バスのなかでも、ひと際目を惹くダブルデッカーと呼ばれる2階建てバス。観光地では2階部分の屋根をキャンバストップとし、開閉可能としたオープントップバスを見かけたことがある方も多いだろう。
国産の2階建てバスは、1960年に現在の近鉄バスがビスタコーチKDD-60型という独自開発車両を製造。車体の中央部分だけが2階建てとなっている特殊なボディ形状が特徴だ。
1982年にもRE161型路線バスシャシーをベースにしたモデルを製作したが、いずれも試作車として製造されたのみで、本格的な国産の市販車は1983年にデビューした日産ディーゼル(現UDトラックス)のスペースドリームや三菱自動車工業(現三菱ふそうトラック・バス)が製造したエアロキング、日野自動車製のグランビューとなる。
なかでも三菱のエアロキングは2010年まで製造されており、国産ダブルデッカーバスのなかでももっともロングセラーだったモデルだ。
三菱製のバスは1982年のふそうブランド誕生50周年を機に、マイクロバスのローザを除き、エアロシリーズで名称を統一。路線用のエアロスター、ミドルデッカーのエアロバス、ハイデッカーのエアロクイーン、そしてダブルデッカーのエアロキングというラインアップとなっていた。
エアロキングは、エアロバスがデビューした2年後の1984年に発売を開始。V型8気筒16031cc 8DC9(T6)型ディーゼルターボエンジンを搭載。最高出力は380馬力(280kW)、最大トルクは137kgf・m(1343.51N・m)を発生。フィンガーコントロールの6速MTで、仕様により異なるが、車両重量はおおむね16トン、全長11990mm×全幅2490mm×全高3770mmという日本の法規制ギリギリのボディに3軸という迫力の佇まいだ。
トラックなど大型の3軸車では、後ろ2軸がダブルタイヤとなるのが一般的であるが、エアロキングは最後軸がシングルタイヤとなっており、操舵機構を有するため車体サイズの割には小まわりの利く仕様となっていた。