
この記事をまとめると
■2015年にデビューしたマツダCX-3は10年が経った現在も販売をしている
■CX-3は設計が古いのにマツダ車のなかでは販売が比較的堅調に推移している
■2020年に199.1万円の15Sツーリングを投入したことで登録台数が前年の1.5倍に増えた
10年経ってもなお堅調に売れているマツダCX-3
いまはSUVの人気が高く、マツダもラインアップを充実させている。ミドルサイズセダン&ワゴンのマツダ6が販売を終えたこともあり、大半のマツダ車がSUVになった。ほかのカテゴリーは、マツダ2、マツダ3、ロードスター、OEM車のみだ。
このSUVラインアップのなかで、もっとも設計の古い車種がCX-3だ。発売は2015年だから、いまでは10年を経過した。CX-3よりも若干ボディの大きなCX-30が2019年に登場して、CX-3は役目を終えたと思われるが、いまでも販売を続ける理由は何か。
CX-3が残っている直接の理由は、設計が古いのに、マツダ車のなかでは販売が比較的堅調に推移しているからだ。CX-3は、2024年には日本国内で1カ月平均671台を登録した。台数自体は多くないが、CX-60の販売実績を上まわり廃止するのは惜しい。
それならCX-30があるのに、CX-3が売れ続ける理由は何か。一番の理由は価格の安さだ。直列4気筒1.5リッターエンジンを搭載する15Sツーリング・2WDは、衝突被害軽減ブレーキ、運転支援機能、360度ビューモニター、アルミホイールなどを標準装着して、価格は227万9200円だ。CX-30のもっとも安価なグレードは、直列4気筒2リッターマイルドハイブリッドを搭載する20iセレクション・2WDで、これに360度ビューモニターなどのセットオプションを加えると281万6000円になる。CX-3・15Sツーリング・2WDは、実用装備を充実させて227万9200円だから割安だ。
他社の1.5リッターノーマルガソリンエンジンを搭載するコンパクトSUVは、トヨタ・ヤリスクロスZ・2WDが251万3500円、ホンダWR-V Z・2WDは239万8000円という具合で、CX-3には買い得感が伴う。ほかのマツダのSUVが好調に売られていれば、CX-3を終了できるが、低調だからいまでも存続している。
ただし、CX-3も最初から買い得で販売が順調だったわけではない。2015年の発売時点では、1.5リッタークリーンディーゼルターボのみを搭載して、価格は中級グレードのXDツーリング・2WDが259万2000円だった。
そして当時はひとまわり大きなミドルサイズのボディに、動力性能の高い2.2リッタークリーンディーゼルターボを搭載する先代CX-5・XDプロアクティブ・2WDが293万7600円で販売されていた。約34万円の価格差ではCX-3が割高で、発売当初から売れ行きが伸び悩んだ。CX-3の月販目標は3000台なのに、実際の登録台数は発売直後でも1400台前後だった。
そこで2017年に価格を抑えた2リッターガソリンエンジンを加えたが、依然として販売は伸び悩む。最終的なテコ入れとして、2020年に1.5リッターエンジンを搭載した15Sツーリング・2WDを199万1000円で投入したところ、登録台数が前年の1.5倍に増えた。
このようにCX-3は、苦難を乗り越えて買い得度を強め、10年にわたって販売を続けている。