
この記事をまとめると
■クルマがコントロールを失ってしまったときにドライバーはどうすべきかを解説
■まずはブレーキペダルをゆるめずにしっかり踏み続けることが肝心
■ぶつかる前にはクラクションを鳴らして周囲にも避けてもらう努力をうながしたい
衝突が避けられないとわかったときにドライバーがすべきこと
何らかの理由でクルマがスピンモードになり、コントロールを失ってしまったとき、ドライバーはどうすればいいのか?
往年のF1ドライバー、ジャッキー・スチュアート(1969年、1971年、1973年のチャンピオン)は、(限界を超えてスピンし始めたら)「神に祈るのみ」と語っているが、コントロールを失って、壁やほかのクルマにぶつかるその瞬間まであきらめてはいけない。
まずやるべきことは、とにかくブレーキを全力で踏み続けること。
クルマに限らず、運動エネルギーは速度の二乗に比例する。ぶつかることが避けられなくても、最大踏力でブレーキペダルを蹴飛ばし、ABSを利かせっぱなしにする。そうすることで、1km/hでも2km/hでも衝突時の速度を遅くして、少しでも運動エネルギーを小さくすることが肝心。
また、何かに衝突したあと、跳ね返されて別方向に動き、二次災害を起こすことも考えられるので、クルマが完全に停止するまではブレーキペダルをゆるめずにしっかりブレーキを踏み続けること。これはサーキットでスピンしたときも同じで、「ダメだ」と思ったときにはとにかくフルブレーキをキープするのが鉄則。
また、ぶつかる相手が壁などではなく、クルマや自転車、人である場合は、ぶつかる前にクラクションを鳴らして、相手にも避けてもらう努力をしてもらう、あるいはチャンスを与えることも試しておきたい。
あとはハンドルが少しでも利くのなら、衝突する角度を変えて、正面衝突を避け、止まれないのならボディの側面を壁やガードレールに押し付け、その摩擦で少しでも減速させたり、衝突する角度が少しでも浅くなるよう足掻いてみるのも価値がある。
スピンやコントロールを失ったクルマを、カウンターステアで立て直す、というのは基本的に無理だと思っていて間違いないが、キャーキャー、ワーワー悲鳴を上げてパニックになり、ハンドルから両手を放してバンザイ状態になり、ペダルからも足を離して衝突を待つのは一番の悪手。
クラッシュに備え、ハンドルをしっかり握って顎を引き、右足はブレーキペダルを強く踏みつけ突っ張りながら、やれることは全部やる。Aもやった、Bもやった、Cもやった、Dも……と、限られた時間のなかで、少しでも被害、ダメージが少なくなるようアクションし続けてみてほしい。