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ポルシェが特許を取得した6ストロークエンジンってなに? 「吸気・圧縮・爆発・排気」以外に何の2工程が必要?? (1/2ページ)

ポルシェが特許を取得した6ストロークエンジンってなに? 「吸気・圧縮・爆発・排気」以外に何の2工程が必要??

この記事をまとめると

■ポルシェが6ストロークエンジンの特許を取得したことに注目が集まっている

■2回の燃焼行程を可能にする革新的構造が熱効率向上に貢献している

■e-fuelとの組み合わせによりカーボンニュートラルを実現する可能性もある

6ストロークっていったいどんな仕組み?

 昨年の秋口、一部の外国誌が着目して伝えたニュースがあった。内容を要約すると「ポルシェ、6ストロークエンジンの特許を取得」というタイトルの記事である。

 6ストローク? なんのこっちゃ、というのが偽らざる思いだったが、非常に興味をひかれるキーワードだった。ただ、その内容についてポルシェAGから詳細なニュースリリースはなく、報道された可能な限りの情報を集めてみることにした。その結果、判明したのが、6ストロークで一巡する内燃機関、ということだった。

 現在、我々が知る内燃機関は、吸気→圧縮→爆発(燃焼)→排気でひとつの燃焼作用が成立する4ストローク(サイクル)エンジン(クランクシャフト2回転=720度)と、ピストン上昇時に吸気と圧縮、ピストン下降時に爆発(燃焼)と排気を同時に行う2ストローク(サイクル)エンジン(クランクシャフト1回転=360度)の2タイプだけだが、ポルシェが新たに特許を取得したエンジンは6ストローク(クランクシャフト3回転=1080度)だという。

 空気と燃料を混合、それに着火して回転力を得る内燃機関の行程を見ると、4サイクルエンジンの各行程が行う動きがすべてであり、常識的には、吸気→圧縮→爆発→排気以外に何か必要な行程があるのか、となってしまうが、なんとポルシェの6ストロークは、吸気→圧縮→爆発→圧縮→爆発→排気の各行程によって成立するエンジンだという。

 思わず、「エッ」と疑問が生じてしまうサイクルだ。最初の圧縮→爆発の動きからすぐに2度目の圧縮→爆発につながるというのはどういう行程構成なのか、その動作の内容が理解できない。つまり、1度目の燃焼によって生じた燃焼ガスの排気と、新たに燃焼する空気(吸気)をどうやって取り入れるのか、その動きが理解できないのである。

 ピストンの動きに合わせて吸排気バルブを開閉させる4ストロークエンジンのメカニズムでは、6ストロークエンジンの2回目の圧縮→爆発行程の成立が考えられないのだ。

 1回目の燃焼作用で、シリンダー内の酸素は皆無の状態になっている。少し前の燃料供給方式、キャブレターや間接噴射のインジェクションでは、吸気バルブが開くことで燃料と空気の混合気をシリンダー内に導入していたが、2度目の圧縮行程では、当然ながら吸気バルブが閉じているため混合気の取り入れができず、シリンダー内には燃焼させるための燃料/空気がないことになる。

 これは、現在の直接噴射のインジェクションでも同じことがいえ、吸気バルブの開閉にかかわらず燃料の供給はできるものの、吸気バルブが閉じている状態では空気(酸素)の取り入れができないことは同じであり、燃料はあっても燃焼を行うことはできず、2度目の燃焼行程の成立が考えられないのである。

 実際には、ここからがポルシェの特許の意味、真価ということになるわけだが、まず、ポルシェの6ストロークは可変ストローク構造で作られている。1度目の圧縮/爆発(燃焼)行程と2度目の圧縮/爆発(燃焼)行程とで、ピストンストロークが異なるようなのだ。

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