
この記事をまとめると
■ガソリン給油時のエンジン停止は法律で定められた厳守事項
■引火や静電気、誤発進による事故を防ぐための重要な安全対策である
■夏場でもエアコン優先はNG、安全と法令順守を最優先に意識すべき
給油中のエンジン停止は安全面が理由
ガソリンスタンドで給油をする際、エンジンは停止させることが定められている。これはガソリンスタンドからのお願いといったレベルではなく、法律によって禁じられている厳格なルールだ。
危険物の規制に関する政令第 27条第6項第1号ロ
「自動車等に給油するときは、自動車等の原動機を停止させること」
ガソリン、軽油、灯油は消防法により「危険物」に指定されており、とくにガソリンは、低温でも気化して爆発性の蒸気を発生させることで知られている。また、灯油や軽油も衣服などに染み込むと簡単に着火する危険がある。そのため消防法では、ガソリンなどを給油する際、エンジンを停止させることや、静電気対策を行うことなどを義務づけているというわけだ。
通常クルマの給油口は、マフラーの出口の反対側(1本出しマフラーの場合)に来るように設計されているが、これも給油口とマフラーの距離を離すことで、火災の発生リスクを減らすための安全対策。それでもエンジンをかけたまま給油すると、エキゾースト系の高温部分にガソリンが触れて引火する可能性があり、さらにエンジンが動いていることで静電気が発生する恐れもあるので、エンジンをかけたまま給油することは法令違反とされている。
またもうひとつの理由として、クルマの誤発進を防ぐという理由もある。たとえば、AT車でエンジンを止めずギヤをDレンジに入れたままサイドブレーキだけを引いて給油しはじめたとしよう。そのときにサイドブレーキの掛けかたが甘く給油中にクルマが動きだしたりすると、給油ホースが抜けてしまいガソリンが周囲にまき散らされてしまう(このケースは実際に何例か報告されている)。
これから夏になると、給油中でもエアコンを切りたくない、エンジンをかけたままにしておきたいと思うかもしれないが、この2つの理由から、給油中のクルマがエンジンをかけっぱなしにしているのは法律的にもNGで、安全面から厳禁とされていることをドライバーは肝に銘じておこう。
ちなみに耐久レースなどでも、ピットでの給油中のエンジン停止は義務づけられている。たとえばスーパーGTでは、給油作業中はエンジンを止めるのがルール。エンジンがかかったままジャッキアップするとペナルティになるので、給油を行う際には4輪が接地した状態でエンジンを停止させ、アース線まで取りつけたうえで給油作業を行っているほど、給油時の安全対策には気を遣っているのだ。
給油しているときにエンジンがかかっていると法令違反になるだけでなく、非常に危険だ。必ずエンジンを止めてから給油するようにしよう。