
この記事をまとめると
■ホンダが将来の電動化戦略に関する「2025 ビジネスアップデート」を開催
■ホンダの2030年のEV比率目標は70万台規模に減速
■成長する2輪は世界シェアの50%を目指し2050年カーボンニュートラルの目標は不変
ホンダの電動化戦略は2030年まではハイブリッドカーが主力
2025年5月20日、ホンダが「2025 ビジネスアップデート」をメディア向けに開催した。プレゼンテーションを担当したのは、同社の取締役代表執行役社長である三部敏宏(みべとしひろ)さん。ホンダというモビリティ企業の近未来像について具体的な理解が深まる機会といえる。
発表された内容を、ひとことでまとめると、ホンダは欧米における環境政策の見直しに伴うEV(電気自動車)シフトの減速・悪化を受け、電動化戦略を見直すことを宣言した。
2030年時点で100万台(ホンダの販売数において30%)の新車販売を見込んでいたEVについて、70万台規模(同20%)といった規模感に縮小するというのだ。
逆にいうと、ハイブリッド(以下、HEV)が当面の主役になるとホンダは計画を修正した。同じく2030年時点でのHEVの販売台数は220万台と予想している。同時期の四輪販売は360万台という計画なので、新車販売の6割以上がHEVになるということだ。
当然、HEVをメインとするのであれば、ライバルと比べての優位性や市場ニーズを満たしているなどの商品力が求められる。そこで、短期的にホンダは「パワートレインポートフォリオの見直しによる事業基盤強化」を考えているという。
HEVについては、次世代プラットフォームへの進化のほか、すでに発表している電動AWDの採用などによって燃費性能を10%以上向上させることを発表している。同時に、ホンダらしい“五感に響く、上質・爽快な走り”の実現を目指すことも宣言した。
ちなみに、直近におけるホンダのHEV販売台数は100万台程度となっている。5年足らずで、それを2倍以上にするという意欲的な戦略ともいえる。
販売台数を増やすためには、普及価格帯のHEVラインアップを充実させることが欠かせない。2027年以降に投入する次世代HEVについては、従来システム比で30~50%のコストダウンを目指しているという。また、北米で求められるようなピックアップトラックなどの大型モデル向けのHEVシステムについても開発中で、2020年代後半には市場投入を計画しているというから注目したい。
一方、EVについても計画をストップしてしまうわけではない。長期的視点ではカーボンニュートラル実現にはEVが最適解であることは変わりない、という。たとえば、ホンダの新しいEVブランドとなる「Honda 0(ホンダゼロ)」シリーズの第一弾モデルを2026年にローンチするということだ。
ホンダゼロには、これまでとは違う新「H」マークを採用することを発表済みだが、次世代のHEVにも新「H」マークを採用するという。商品戦略の見直しに伴い、ブランド戦略にも多少の変更があったと理解できる。今回の発表では、ビジネス目線での話に終始したが、電動化戦略の見直しに伴ったブランディングの変化についても気になるところだ。
なお、日本向けにはN-ONEベースの軽EVのほか、コンパクトEVを計画・検討中という。「HONDA 0」と合わせて、フルラインアップEVを用意することで、日本市場におけるEVブランドとして確立しようという戦略のようだ。