
この記事をまとめると
■マフラーエンドから炎を拭き上げることを「アフターファイヤー」という
■似た言葉に「バックファイヤー」もあるがまったく意味が異なる
■「バックファイヤー」はキャブやエアクリーナーから炎を吹き出すことをいう
アフターファイヤーとバックファイヤーはまったく違うもの
特撮映画でも迫力を出す際は、爆音、炎、煙の3つが欠かせないが、モータースポーツでもエンジンからの爆音(エキゾーストノート)と、タイヤスモークがあるとないとでは大きな違いがある。もうひとつの炎は、最近だとアクシデントでもなければ見かけないが、スーパーシルエットの「日産ターボトリオ」が、マフラーからボーボーと長い炎を吹き上げていたシーンをいまでも鮮明に覚えている人もいるだろう。
あのキングギドラやガメラを思わせるマフラーから噴き出した炎のことを「アフターファイヤー」という。
よく似たフレーズに「バックファイヤー」があり、これとアフターファイヤーを混同している人がいるが、バックファイヤーとアフターファイヤーはまったくの別物。
どちらもちらも未燃ガス(燃焼しきれなかった燃料ガス)が原因の燃焼異常を指す言葉だが、炎が出る方向が正反対。
バックファイヤーは、シリンダーから燃料ガスが逆流し、吸気側から炎や爆発音が発生する現象。アクセルを開けた際にキャブレターやエアクリーナー付近から炎や破裂音が出る。原因は、キャブレターの不調や点火時期のずれがほとんど。
アフターファイヤーは、燃焼しきれなかった燃料ガスがエキゾースト系で爆発する現象。スロットルを戻したときに、マフラーから破裂音とともに炎が出る。原因は燃調不良、点火時期のずれなど。放っておくと、触媒がダメージを受けたり、サイレンサーの消音用のグラスウールが痛んだり、マフラー出口付近のバンパーが焦げたりするので、対策が必要。
どちらも炎が出るので、最悪、延焼するリスクもあり「かっこいい」などと放置せず、すぐに整備工場に持ち込み、直してもらおう。
ちなみに、スーパーシルエット時代の日産ターボ軍団は機械式インジェクションだったので、あえて燃料ミクスチャーを濃くして、アクセルを戻したときに盛大に炎が出るよう演出していた。
電子制御スロットル、電子制御インジェクターのクルマには、バックファイヤーもアフターファイヤーも無縁なので、そのうち忘れ去られてしまうかもしれない……。