
この記事をまとめると
■元タクシー運転士の再逮捕で乗客被害の深刻さが改めて明るみに出た
■世界的に見れば安全な日本のタクシーだがリスクはゼロでない
■配車アプリ普及や自動運転化でも犯罪リスクの懸念は残るだろう
タクシー運転士による犯罪行為は残念ながら存在している
2025年5月21日(水)、都内在住の元タクシー運転士の男性が警視庁に不同意性交や性的姿態撮影処罰法違反などの容疑で再逮捕されたという報道を目にした。
2024年7月、当時タクシー運転士だった男性は、都内で乗車してきた20歳代女性客に対して睡眠薬を飲ませた。女性が意識をなくしたのち、女性宅で性的暴行し、さらにその様子をスマホで撮影した疑いにて再逮捕されたのである。
なお当該男性は、別の女性へのわいせつ行為で警視庁以外の他県警に逮捕、起訴されていたそうだ。男性のスマホからは多数のわいせつ動画や画像が見つかっており、過去に乗客として乗った女性客も同様の被害に遭っているのではないかと調べているとのことでもあった。
同じく5月21日、北海道札幌市内の歩道で、75歳のタクシー運転士が69歳の男性に暴行したとして傷害の疑いで逮捕された。被害に遭った男性は意識不明で病院へ搬送されたが、5月23日に死亡している。交通トラブルが原因とされているが、詳細は定かではない。
インバウンド(訪日外国人観光客)からも好評なのが日本のタクシー。車両は内外装ともにきれいであり、運転士は制服を着用し、英語は不慣れなものの接客態度もよいことが大きい。しかも明朗会計(不正運賃の請求がほぼない)というのも好評のようである。
諸外国においては、タクシーは「危険な乗り物」という認識が一般的である。迂回走行にはじまり、メーターを入れないで走行するなど料金の不当な請求はまだまだ朝飯前。インドでは目的地に到着する途中に謎の人物が乗車してきて怪しい土産物屋へ連れていかれそうになったという話も聞いている。
また、運転士から見ても、タクシー乗務は「危険な仕事」となる。タクシー強盗などの犯罪に遭遇するリスクは高く、自衛のため運転席下などに拳銃やナイフなどの武器を用意していることも珍しくない。料金トラブルなどでいい争いになった挙句に運転士に武器を用いて攻撃されてしまうこともあるので、いい争いはほどほどにとアドバイスされたこともある。また、目的地とはまったく違うところに連れていかれ、身ぐるみをはがされるといったこともあるようで、筆者は渡航先でよく、「乗っていいタクシー会社とダメなタクシー会社」を教えてもらっているほどだ。
ただし、諸外国でもスマホアプリ配車やキャッシュレス決済の浸透で環境はずいぶん変わってきている。ライドシェアでは料金は事前決定してしまうし、タクシーでもキャッシュレス決済が広く普及したことで料金の不正請求もめっきり減っているようである。また、アプリ配車では都度記録が残るので、運転士もそうそう悪さができなくなっているようだが、まだまだ気が抜けない国も多い。