
この記事をまとめると
■2025バステクフォーラムが神戸で開催、中型BEVバスの展示が主役に
■BYDなど中国勢が豊富な車種展開で存在感を増し、日系との対比が印象的であった
■運行管理DXや労務軽減用品も登場、業界の二極化と変革が進行中
バス業界でも「EVシフト」の話題が沸騰中
バス業界関係者向けに最新車両や用品展示を行い、業界関係者の情報交換の場ともなっている、「2025バステクフォーラム」が、2025年5月23日(金)に兵庫県神戸市内にある神戸総合運動公園にて開催された。
バス車両の展示は、ここ数年BEV(バッテリー電気自動車)バスが中心となっていた。そのなかでも、大型路線もしくは自治体のコミュニティバスでもおなじみの小型タイプが主たる展示車だったのだが、今回の主役は同じBEVバスであっても全長9メートルとなる中型タイプの車両が目立っていた。
また、中国BEV大手BYDオート(比亜迪汽車)の日本法人、BYDジャパンがはじめてバステクフォーラムへ出展したことも業界では話題となった。そしてこのイベントでは人気の高い最新車両の運転及び客席試乗では、EVモータースジャパンが路線型ではなく大型観光タイプのBEVバスをエントリーして注目を浴びていた。車両展示では中国系メーカー車両が圧倒的な存在感を見せるなか、日系老舗メーカーでは、Jバス(いすゞと日野の合弁バスメーカー)が「日の丸EVバス」となる大型路線タイプとなる、いすゞ・エルガEVを展示していた。
日系老舗メーカーが大型路線タイプのBEVバスのみなのに対し、マイクロ、小型、中型、大型路線タイプ、そして大型観光タイプまで豊富なラインアップを見せつけた中国系メーカーとのコントラストの違いがとても印象的であった。
路線バスではICE(内燃機関)車であっても大型から中型へのダウンサイジングがここのところ目立ってきている。いまどきダウンサイズを検討するのだから、「どうせならBEVに」となってもおかしくない。腰の軽い中国系メーカーはそんな事情を察知したのか、いっせいに中型路線タイプのBEVバスのラインアップを充実させ、今回積極展示してきたように見えた。
車両以外にもバス関連用品の展示コーナーもあったが、こちらの特徴としては、バス運転士などの「働き方改革」につながるようなものを多く見かけた。そのほかには、よりきめ細かい運行管理を可能とする、運行管理のDX化につながるシステムの展示もあった。
BEVバス、運行管理システムのDX化、運転士の労務負担軽減への投資など、バス事業者は厳しい経営環境のなか、さまざまな取り組みを迫られている。それらへの補助事業もあるが、けっして充実しているとはいえないのもまた現実だ。
また、さまざまな最新ツールを用意しても「根性論」をかざして、物理的な理由のほか精神論で導入に消極的な事業者と、厳しいなかでも積極的に最新ツールを導入する事業者とに二極化してきているともいわれている。将来的には、本格的な自動運転バス導入というものが待っている。バステクフォーラムにおいても、自動運転バスに客席試乗できる日もそう遠くないだろう。