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中古車の販売業は「警察」の管轄! なぜ新車のように国交省や経産省じゃない? (1/2ページ)

中古車の販売業は「警察」の管轄! なぜ新車のように国交省や経産省じゃない?

この記事をまとめると

■新車販売に関する管轄は国土交通省と経済産業省がメインだ

■中古車の取引には「古物商許可証」が必要で管轄が警察署となっている

■クルマは高額な商品なので治安維持の観点から警察が管理する必要性が高い

中古車屋に必須の「古物商許可証」とは

 通常、新車販売の管轄は国土交通省と経済産業省という国の省庁である。一方、中古車販売においては、その管轄は国土交通省や経済産業省といった国の省庁ではなく警察署である。

 一般的にリサイクルショップやネットオークションなど古物(中古品)の売買や交換、レンタルなどを行う際には「古物商許可証」の取得が不可欠である。じつは中古車も例外ではなく、この許可証が必要となる。その管轄は警察署なのだ。

 ではなぜ、中古車販売業に「古物商許可証」が必要なのだろうか。その理由を掘り下げることで、中古車市場の信頼性や社会の安全を守る仕組みが見えてくる。

<犯罪対策としての古物営業法の成り立ち>

 その古物商許可が警察の管轄である理由を理解するには、古物営業法が制定された背景を知る必要がある。現在の古物営業法は1949年(昭和24年)に制定されたが、その前身である古物商取締法は1895年(明治28年)まで遡る。この法律の第一条に、古物営業法の目的は「盗品等の売買の防止、速やかな発見等を図るため」とある。つまり、古物営業を規制する最大の理由は、犯罪の防止と被害回復にあるわけだ。

 明治時代から現代に至るまで、中古品を扱う市場には常に盗品が混入する危険性があった。とくに自動車のような高額商品の場合、盗難車が中古車市場に流れることで、窃盗犯に大きな利益をもたらし、さらなる犯罪を誘発するおそれがある。古物営業法は、こうした盗品の流通を阻止し、万が一盗品が売買された場合でも、迅速に発見・回復できる仕組みを構築することを目的としている。

 この目的達成のため、古物商には厳格な本人確認義務が課せられている。古物を買い受ける際は、相手方の住所、氏名、職業、年齢を必ず確認・記録しなければならず、これは古物商同士の取引でも例外ではない。さらに、取引記録の保存義務や、警察からの照会があった場合の報告義務なども定められており、これらの規制は明らかに犯罪捜査の協力を前提としたものである。警察が古物営業を管轄するのは、こうした犯罪対策の実効性を確保するためなのだ。

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