
この記事をまとめると
■自動車メーカー各社が通気決算会見でトランプ関税の影響について発言した
■トヨタの営業利益減は9955億円でホンダは6500億円減
■スバルやマツダも現地生産を拡大する見込み
トランプ関税の影響が大きい自動車メーカー
連日メディアを賑わしている、トランプ関税のニュース。日米間通商交渉なので、その内情を詳しく知ることは、たとえ大手自動車メーカーであっても難しい。その上で、自動車メーカー各社がトランプ関税の影響について正式な場で発言したのが、5月に行われた各社の通期決算会見だ。
まず、最大手のトヨタだが、今期(2025年4月〜2026年3月)の営業収益(売上高)は4633億円増えて48兆5000億円を見込む。営業利益は9955億円減って3兆8000億円とした。
その影響のひとつが、トランプ関税。ただし、「政府間の交渉を続行中」として、今後なんらかの変化が起こることを盛り込んだ。
結果的に、4月と5月の2カ月分の影響を1800億円として、通期の影響の発表を差し控えた。もし、この月あたり900億円の影響が通期で続けば、しめて1兆円レベルに達する。
トヨタはこれまで、北米向けの生産体制をアメリカやカナダで拡充してきたが、それでも絶対的な販売台数が多いことから、トランプ関税の影響はこうした大きな額となるのは致しかたない。
また、トランプ関税の影響とひとことでいっても、内容はさまざまある。
その点についてホンダが決算報告で示した数字が興味深い。通期では関税の影響を6500億円として、その内訳も公開したのだ。四輪完成車として3000億円、四輪車の部品関連や原材料で2200億円、そのほかにも多様な要素での影響が考えられるとした。
一方で、トヨタやホンダに比べて事業規模が小さいスバルは、グローバル販売の約7割を北米市場に頼っており、トランプ関税の影響は極めて大きい。通期見通しについて、グローバルでの生産台数と連結販売台数を90万台とするも、トランプ関税の影響は現状では定量化できないとして、営業利益について未定とした。
アメリカ現地工場では、年間34万〜35万台を生産しているが、今後はフォレスターなど日本から輸出を減らして現地生産に切り替える。
仮にトランプ関税への対応策を講じない場合、その影響は年間で3700億円程度に達するとしている。
そのほか、北米向けの主力モデルを日本から輸出しているマツダも、今後はトヨタとの現地合弁工場などを通じて現地生産数を拡大することが検討されるだろう。
いずれにしても、トランプ関税は、完成車・自動車部品・原材料などさまざまな分野を巻き込んでおり、日米貿易交渉を進捗を見ながら、自動車メーカー各社は臨機応変な対応を迫られることになる。