
この記事をまとめると
■進路変更車に急操作をさせたら進路変更側にも違反の可能性あり
■進路を妨害し車間を詰める行為は「車間距離不保持」の恐れも
■渋滞時は1台ずつ譲り合う「ファスナー合流」が円滑な通行の鍵
たまに見かける「意地でも入れさせない」ドライバー
進路変更をしようとしたとき、明らかにウインカーが見えているはずなのに車間距離を前車ギリギリまで詰めて走行しているドライバーを見かけることがあります。この「なんとしてでも入れない!」というドライバーは交通違反にならないのでしょうか。
進路変更をする際は原則として後続車に急操作させてはならない
本題の前に、進路変更しようとするクルマの基本的なルールを簡単に確認しておきましょう。
道路交通法 第26条の2「進路の変更の禁止」には、次のように定められています。
【道路交通法 第26条の2「進路の変更の禁止」】
車両は、進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度または方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならない。
(一部抜粋)
進路変更しようとするクルマは、進路を変えて入った車線を走行するクルマ(後続車)に急ブレーキや急ハンドルをさせてしまうおそれがあるときは、進路変更してはならないということです。
しかし、実際の交通社会では、渋滞している車線に進路を変えて入らなければならないこともあります。このようなときに、進路変更させないよう前車との車間距離を詰めて走行するクルマを見かけます。このようなクルマは交通違反とならないのでしょうか。
右左折車線などに入る際に進路を妨害するのは違反となる
道路交通法をわかりやすく説明している「交通の方法に関する教則」の「交差点(環状交差点を除きます)の通行方法」には次のように書かれています。
【交通の方法に関する教則「交差点(環状交差点を除きます)の通行方法」】
前のクルマが、右左折するためや標識・標示により指定された車両通行帯を通行するためなど、進路を変えようとして合図をしたときは、そのクルマの進路の変更を妨げてはいけません。しかし、急ブレーキや急ハンドルで避けなければならないような場合は別です。
(一部抜粋)
隣の車線から進路変更して自車が走行する車線に合流するクルマがいる場合は、やむを得ない場合(急ブレーキや急ハンドルなど)を除き、進路を変えて入ろうとするクルマを妨げてはならないということです。
また、車間距離を詰めて進路を変更しようとしているクルマを入れないようにした場合、前車との車間距離がギリギリまで詰まってしまう可能性が高いです。
車間距離を詰めて走行し続けた場合、「車間距離不保持」の交通違反となります。
つまり、進路を変えて入ろうとするクルマを妨害する行為は、ここで解説した理由で交通違反として取り締まられる可能性が高いということです。
混雑時や渋滞時は1台ずつ交互に
運転をしていると、交通集中による混雑や渋滞している車列に合流しなければならない場合があります。
このようなときは、混雑または渋滞している車列に1台ずつ交互に合流するという認識を、合流する側も合流される側ももつようにしましょう。また、NEXCOでは混雑時に1台ずつ合流する「ファスナー合流」を推奨しています。
運転者一人ひとりがファスナー合流や円滑性を重視した「譲り合い」を徹底すれば、交通がより円滑になる可能性が高くなります。混雑しているときや渋滞しているときは、時間と気もちにゆとりをもって、合流したり合流させたりするようにしましょう。