
この記事をまとめると
■オイル交換の正解は「メーカー指定オイルを適正サイクルで」
■最新オイルはロングライフ設計で昔の常識とは異なる性能をもっている
■頻繁な交換が逆効果になる場合もあるため慎重な判断が必要
いまのエンジンオイルは昔よりも大幅に長寿化している
オイル交換は、カー用品店のスタッフよりも詳しい人がいるぐらいで、ユーザーの興味関心が高い分野。それだけに一人一派というぐらい選び方や交換時期には流儀がある。それぞれのこだわりにしたがって交換すればいいのでは、と思うのだが、カー用品店やガソリンスタンド、カーマニアの間で、あまりにも意見が違うので迷ってしまっている人もいるだろう。
本当のところ、オイル交換のタイミングやオイル選びに正解といえるものはあるのだろうか? オイル交換に正解があるとしたら、それは自動車メーカーが指定している純正指定オイルを奨励交換時期に交換することしかない。
国産車の場合、ガソリン車なら走行距離1万5000km毎もしくは1年毎といった車種が多いはず(シビアコンディションはその半分)。欧州車などはもっと交換頻度が長く設定されていて、たとえばアウディなどは、最長2年または3万kmというロングライフを謳っている。
ひと昔前までは5000km毎の交換が当たり前だったことを考えるとちょっと不安になるかもしれないが、いまのエンジン、いまのエンジンオイルなら、これで本当に大丈夫。
というのも、エンジンオイルにも環境性能が求められる時代になり、劣化防止性能が何倍も向上しているためだ。オイルに求められる環境性能は、省燃費性・排出ガス浄化・劣化防止の3点がメイン。交換サイクルが短いオイルは、廃油が増えて環境にマイナスになるので、長寿命化は大きな課題となる。
オイルの規格としてよく知られるAPIは、2001年にSL、2004年にSM、2010にSN、2020年にSPが制定されているが、そのたびに省燃費性を含む総合性能、持続性能、最新のエンジン機構への適応といった基準が引き上げられている。
たとえばSMはSLよりも2倍の性能持続性がなければ認められないので、最新のオイルはひと昔前のオイルの3倍以上のロングライフ性能があると考えてよいだろう。
とはいえ、「メーカー指定より早く交換するぶんにはデメリットがないのでは?」と思う人もいるだろう。しかし、それにも問題がある。
なぜなら、最新のクルマのエンジンはノーメンテが前提で、よかれと思ってやったことがかえってエンジンにダメージを与える可能性があるからだ。その証拠に、昨今のクルマにはエンジンカバーがついている。あれは静粛性を高める機能もあるが、エンジンルームを触らせたくないというメーカーからのメッセージでもあるのだ。
いまやオイルレベルゲージのないクルマも増えているが、それはオイル交換やオイルの量の点検によって埃やゴミが精密なエンジン内に混入するのを嫌っての対策だからだ。高級車なら、オイルのコンディションは各種センサーが正確にモニタリングしてチェックしているので、「交換せよ」とメッセージが出ない限りは、メーカー指定の交換サイクルを守るのが正解。
「いや、自分にはお気に入りのオイルがあるし、信頼できるショップのおすすめのタイミングで交換したい」という人は自分のルールを優先してもらって構わないが、カー用品店やガソリンスタンドに行くたびに、「そろそろオイルの交換時期ですよ」とセールスされて不安になるという人は、上記を参考にしてほしい。