
この記事をまとめると
■トヨタは欧州向けにコンパクトカー「アイゴ」をラインアップする
■初代にはアイゴをベースにしたコンセプトモデル「アイゴ・クレイジー」が存在
■MR-S用のエンジンを搭載したホットハッチとして注目を集めるも市販されなかった
これはほしい! イギリスのトヨタが本気で作ったワンオフモデル
2000年代初頭に欧州向けにトヨタが導入した初代アイゴは、シトロエン/プジョーと共同開発した小粋なシティコミューターでした。現行モデルはヤリスよりもコンパクトなSUVですが、国内導入されないこともあって羨望の眼差しを向けられることもしばしば。ですが、この初代シティコンパクトが1.8リッターターボをミッドシップして、エアロパーツを盛ったスポーツモデルになったとしたらどうでしょう。ちょっと考えただけで頬が緩むクルマ好きは決して少なくないはずです。
Aセグメントは取りまわしのよさや、手に入れやすい価格から欧州では激熱バトルが繰り広げられる市場。ですが、トヨタとプジョー/シトロエンは共同戦線、すなわち合弁会社で共同開発することで、より合理的なクルマづくりを実現しました。コストを削減してライバルたちに差をつけようと目論んだわけですね。この際、コストだけでなく各社の知恵が集結した結果、アイゴと姉妹車のプジョー107/シトロエン C1はかなりの軽量化に成功し、高燃費という付加価値まで手に入れたとされています。
ここまでなら、「ああ、トヨタっぽい意識高い系エピソードだよね」となるのですが、この初代アイゴのモデル末期に、とても意識が高いとは思えないカスタムマシンが登場。アイゴがもっとも売れたというイギリスで、グループBマシンでも作ろうとしたのか魔改造をしでかしてくれたのです。その名もアイゴ・クレイジーとは思い切ったもの。
ご覧のとおり、グループBばりのエアロパーツを全部載せで、ひところのラリーカーを彷彿とさせてくれるスタイリング。無論、いずれのパーツにもドライカーボンが用いられ、このままボディキットとして販売してもおかしくない完成度でしょう。また、リヤに屹立するウイングはイギリス・トヨタによれば「アメリカン・チャンプカーシリーズ」へのオマージュが込められているとのこと。300km/hオーバーの世界から、シティコミューターに流用とはまったくもってけしからん(笑)。
そして、リヤから眺めるとバンパースポイラーから太めのマフラーが2本出ていることがわかるはず。前述のとおり、MR-Sに搭載されていた4気筒1.8リッターエンジンをターボ化した上でミッドに横置きしており、ワンオフのエキゾーストを作った結果の2本出しということ。太めのサイレンサーをチラ見せしているあたり、センスのよさを感じさせてくれますね。