
この記事をまとめると
■全国交通安全運動は春・秋の年2回と決まっている
■春は新入園・入学で子どもの事故が増える時期で、秋は視認性低下による事故が増加
■全国一斉は年2回だが地域別には夏や冬も運動を実施することもある
毎年恒例の全国交通安全運動のナゾ
毎年、春と秋に実施されている全国交通安全運動。その目的は、「広く国民に交通安全思想の普及・浸透を図り、交通ルールの遵守と正しい交通マナーの実践を習慣付けるとともに、国民自身による道路交通環境の改善に向けた取組を推進することにより、交通事故防止の徹底を図ること」とのことだが、日本には四季があり、梅雨だって雨で事故が増える。なにも春と秋に限らなくてもよさそうな気もするが、なぜ春・秋限定なのだろうか?
これにはちゃんとした理由がある。内閣府では、春は新生活がはじまり、とくに幼児や児童の交通事故が増える傾向があるためと説明している。4月に入園したばかりの園児や入学したばかりの新入生たちはまだ通園通学に不慣れで、毎年歩行者や自転車の事故が目立っている。また、この時期は免許を取り立ての人も多く、新社会人など新しい環境でのクルマの運転にまだ自信がもてない人も多いからだ。
秋に関しては、日没時間が早まり、夕暮れ時に交通事故が増加することがわかっており、夜長になることで夜間に重大インシデントにつながりかねない交通事故が多発する傾向があるからだとされている。とくに視認性の低下によって歩行者が被害に遭う割合が増えるので、早めのライト点灯を呼びかけたり、自転車を含め無灯火の取り締まりを強化したりして、事故防止に力を入れている。
ちなみに、全国交通安全運動の起源はけっこう古く、戦後間もない昭和23年に「全国交通安全週間」が、(警察庁の前身)国家地方警察本部決定によって実施されたのがルーツだ。春・秋の年2回開催となったのは昭和27年からで、現在では原則として、春は4月6日から、秋は9月21日から、それぞれ10日間行うことになっている。
なお、全国一斉の交通安全運動は春と秋だけになっているが、地域によっては夏の交通安全運動を行っているところもあれば、雪国などでは冬の交通安全運動を独自に行っている例もある。
昨今の記録的な猛暑のなかや厳冬期に、交差点などに警察官などを配置して安全運転などを呼びかけたり、チラシを配布したり取り締まりを行ったりするのもとんでもなく大変なことなので、全国一斉の交通安全運動は、春と秋だけで十分な気もするが……。そのぶん、ひとりひとりのドライバーが季節を問わず安全運転を強く意識して、事故のない社会を目指す努力を怠らないようにしよう。