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自分でピッタリの料金を投入する……っていつの時代! ちょっと乗らぬ間にバスの料金収受箱が進化しまくっていた!!

自分でピッタリの料金を投入する……っていつの時代! ちょっと乗らぬ間にバスの料金収受箱が進化しまくっていた!!

この記事をまとめると

■運賃の収受を行うために設置されるバスの料金箱

■バスの料金箱は利便性や効率性の向上を追求してきた

■両替機能の追加やICカード対応など時代に合わせて進化している

最新の料金箱は自動でお釣りを計算

 現在、路線バスはほとんどが運転手だけのワンマンバスだから、運賃は料金箱にユーザーが自ら入れる方式になっている。1970年ごろまでは都市部でも車掌が乗務しており、切符の販売、料金の収受を担っていた。しかし、路線バスは収益性が高い事業ではないために、コスト削減の必要性が生まれてワンマン化が進んだのである。

 車掌がいなくなったバスの運賃は、運転席横に設置されたコンパクトな四角い箱で収受するようになった。バス会社、地域、料金設定などによって、先払い、後払いの違いはあるものの、多くは透明なプラスチックになっている投入口に切符や料金を入れ、運転手がそれを確認するといった仕組みになっていた。

 運賃は回数券や小銭といった複数の種類があるもので支払われることに加えて、子ども料金などもあるために、その確認作業は負担の大きな業務といえよう。料金均一区間でもそうなのに、整理券のある料金変動区間はなおさらのことだ。さらに、お釣りがある場合は料金箱の横に別途釣銭を吐出する機械(運転手がお釣りを計算して操作)や、運転手が所持する両替袋で対応していたのである。

 当初、投入された料金は運転手がレバーを操作するなどして、投入口下の集金箱に投下していた。その後、投入口底部に小さなベルトコンベアーを取り付けたタイプが登場し、自動的に集金箱に入るようになっている。このころ、両替を乗客が行う両替機が併設されるようになり、料金箱には既定の運賃を入れる方式が採用されるようになった。これにより、運転手はお釣りの扱いをしなくなったのだが、回数券、一日乗車券などは販売する場合があり、料金収受の負担が完全になくなることはなかったようだ。

 1980年代後半ごろからプリペイドカード(リライト方式)が使われるようになって、カードリーダー・ライターが料金箱に取り付けられた。これなら運転手がいちいち料金を確認しなくても済むので、料金収受業務の負担が軽くなったといってよい。さらに、このカードは地域によって事業者の垣根を超えて使用できた(紙の回数券でも例はある)ため、ユーザーの利便性も向上したといわれている。

 2000年中盤ごろから現在使用されているICカード式乗車券が普及し始め、専用のカードリーダーが取り付けられるようになった。これは、チャージをすれば何度も使用できる無記名式のものであったが、定期券としての機能をもたせる場合は個人情報を登録しなければならない。のちに、スマホアプリ式のものも登場している。

 最新の料金箱はお札と硬貨の投入口がそれぞれ設けられ、投入後に自動計算してお釣りを吐出(子ども料金、1度に複数人支払うなどの場合は、運転手に申告して機械操作してもらう必要がある)するようになっている。料金変動区間では整理券にバーコードなどが入っているので、料金箱に投入すると自動的に料金が表示、計算されるのだ。

 このように、料金箱は時代とともに大きく進化をしてきている。その歴史は、おもに運転手の料金収受に関わる負担軽減と、新たな料金支払いシステムへの対応であったといってよいだろう。今後、当面は現金とICカード決済が中心になるのだろうが、QRコードやクレジットカードへの対応も本格化するなど、今後も料金箱は進化を続けるのではないだろうか。

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