
この記事をまとめると
■自動運転トラックの実証実験が開始
■区間は新東名高速道路の駿河湾沼津SA~浜松SA
■実証実験で検証される内容について解説
「合流支援情報提供システム」に注目が集まる
「2024年問題」解決の一助として、トラックの自動運転実現を目指し、急ピッチで研究が進められている。その一環として、2025年3月3日から国土交通省、ネクスコ中日本と、総務省、経済産業省、警察庁などが合同で、新東名高速(駿河湾沼津SA~浜松SA間)を使用した、自動運転トラック走行の実証実験を開始した。これは、平日の夜間(22:00~翌5:00)に第1通行帯(左車線)を自動運転車優先レーンとして設定し、レベル4自動運転トラックの走行をさせるというものだ。
この実証実験では、主に以下の4項目が検証されている。
自動運転車優先レーン
自動運転トラックが安全、円滑に走行可能かを確認。自動発着
自動運転トラックで自動駐車、自動発進を行いその状況を確認。先読み情報提供システム
工事規制情報などの先読み情報(車両単独では検知できない道路前方の状況に関する情報)について、路側機から提供された情報が適切に受信するか否かを確認。合流支援情報提供システム
合流支援情報について、路側機から提供された情報が適切に受信するか否かを確認。
このうち、三菱重工と三菱重工機械システムが提供した「合流支援情報提供システム」に注目が集まっているのだ。自動運転時における高速道路上の合流は、もっとも難しい状況のひとつとされている。それは、自動運転トラックが高速道路本線へ合流する場合、あるいは本線を走る自動運転トラックに一般車両が合流してくる場面において、スムースかつ安全な走行ができるように、「路車協調」を行なうシステムであるからだ。
具体的な仕組みは、自動運転トラックが合流場面に遭遇した際に、路側に設けられた車両検知センサーが一般車両を検知し、自動運転トラックにその情報を提供するというもの。それを受けて、自動運転トラックは速度調整を行なうなどして、安全、円滑に合流を果たすことができるのだ。一般車両に対しては、自動運転トラックが接近していることを道路情報板に表示するなどして、注意を促せるようになっている。
これは言葉で説明すると簡単そうに思えるが、情報の提供やそれを受けた車両側の対応が一瞬でも遅れれば、大きな事故に直結しかねないという危険を孕んだものだ。情報の精度や受発信のタイミングは、高いレベルのものが求められる。ゆえに、同社が提供した車両検知センサーシステムや路側処理装置の技術は、自動運転システムの将来を担っているといっても過言ではないのである。
このシステムが注目されているのは、それだけが理由ではない。なぜなら、本実証走行に留まらない発展性をもっているからだ。具体的には、ETC2.0やITS Connect(自動車同士が直接通信により運転支援につながる周辺情報などを得られるシステム)の受信機を使うことで、一般車両にも簡単に導入できるという点である。
高速道路の合流部に危険が潜むのは、何も自動運転トラックに限った話ではない。一般車両でも同じことだ。完全自動運転化にはまだ時間が必要だが、その過程で開発された技術を現行車両に転用することで、より安全、快適なカーライフの実現が期待されているのである。