
この記事をまとめると
■「シボレー・コルベットSS(XP-64)」がRMサザビースに出品された
■日本円換算で11億6000万円もの値段がついた
■その希少性やストーリーを考えると高すぎる価格ではないとの意見もある
衝撃のアメリカンスポーツがオークションに登場
2025年2月、アメリカのマイアミで開催されたRMサザビーズのマイアミオークションにおいて、770万5000ドル(邦貨換算約11億6000万円)という衝撃的な価格で、1台のレーシングカーが落札された。
それは1967年以来、インディアナ州にあるインディアナポリスモータースピードウェイ博物館の所蔵となっていた、1957年型の「シボレー・コルベットSS(XP-64)」。
これまでアメリカ車のファンからは常に熱い視線が注がれてきたこのモデルのどこに、770万ドル超の価値があるというのか。今回はその特別なコルベットを紹介しよう。
現在にまで続くシボレー・コルベットのヒストリー。その原点にあるのは、1953年に発表された初代コルベットだ。それまでスポーツカーといえば、ヨーロッパから輸入されてくるライトウエイトスポーツが主流だったアメリカにおいて、初めて誕生した国産スポーツカーともいえるコルベット。
その話題性と人気はデビュー時から絶大なものだったが、一方でスポーツカーのセールスには必要不可欠なレースの世界においては、この初代コルベットはまだまだヨーロッパから送り込まれるライバルに対して、十分な競争力をもつモデルとはいえないのが現実だった。
そこでシボレーが立ち上げたのが、XP-64とネーミングされた本格的なレーシングカーの開発プロジェクトだ。そのチーフとして抜擢されたのは、シボレーの歴史を語るには必要不可欠なビッグネーム、かのゾーラ・アーカス・ダントフ氏。彼の指揮のもと誕生したXP-64には、後に前でも触れたとおりコルベットSSの名を与えられ、レース参戦用とテスト用のプロトタイプの2台が製作された。
プロジェクトのスタートから、わずかに5カ月間という短期間で誕生したコルベットSS。GMのデザイン部門によってスタイリングされたボディには、フロントグリルなど初代コルベットの面影が残るが、やはり注目しなければならないのは、エアロダイナミクスの最適化だ。さらに、ボディパネルにマグネシウムを用いることによる軽量化も積極的に進められ、実際の車重は初代コルベットより1000ポンドも軽い1850ポンド(約830kg)という、じつに魅力的な数字に抑えられていたという。