
この記事をまとめると
■フェラーリ348は3.4リッターV8を搭載し従来構造を刷新した革新のモデル
■F355は5バルブ化と6速MTに加えてF1マチックを追加し性能と快適性を両立
■両モデルはいまや「クラシケ」扱いとなり貴重な価値をもつ
モノコック構造を取り入れた最初のフェラーリ
1975年に発表された308GTBに始まる、フェラーリのV型8気筒ミッドシップ2シーター。それはいつの時代ももっともポピュラーなフェラーリとして多くのカスタマーに親しまれてきた。今回はそのなかから、現在でもなお高い人気を誇る348、そしてそのビッグマイナーチェンジ版であるF355の存在に再注目してみたいと思う。
それまでの328シリーズの後継車として、348シリーズのファーストモデル、348tb、348tsが誕生したのは1989年のことだ。ちなみにこの車名に掲げられる「348」という数字は、ミッドに搭載されるエンジンが3.4リッターのV型8気筒であることを示すもの。
それに続く「t」はエンジンの搭載方向が縦置きに変更されたことに伴い、組み合わされる5速MTが横置き、つまりイタリア語で「トラベルサーレ」とされたことを意味している。「b」がクーペのベルリネッタを、また「s」はスパイダーのボディタイプを表すのは、308/328時代のGTB/GTSのそれに等しい。
フェラーリはこの348シリーズにおいて、まさに歴史的なエンジニアリングの見直しを行った。それは従来のスペースフレームによる基本骨格を廃し、新たにセミモノコック構造を採用したこと。それはまた、生産効率の向上にも大きく貢献する決断だった。ミッドのV型8気筒DOHC 4バルブエンジンが発揮した最高出力は300馬力。
ピニンファリーナによる流麗なデザインが施されたボディは、当時の12気筒ミッドシップ、テスタロッサのそれにも似たサイドのフィンを特徴とするラグジュアリーかつスポーティな印象を醸し出している。注目の最高速は275km/h。0-100km/h加速は5.6秒というのが公称値である。
1993年になると、この348シリーズにはソフトトップを備える、フルオープン仕様のスパイダーが追加設定される。直後にはマイナーチェンジ版の348GTB/GTSが誕生し、エンジンは320馬力へとさらに強化。そのスーパースポーツとしての魅力はさらに高められることになった。