
この記事をまとめると
■「XXプログラム」はフェラーリ最上級のカスタマープログラム
■サーキット走行専用車が用意され最上のホスピタリティのもと走りを楽しめる
■技術開発に貢献し続けるXXシリーズのマシンは顧客の憧れとなっている
フェラーリが提供する究極のプログラム
フェラーリには、「XXプログラム」と呼ばれる特別なカスタマープログラムが存在している。それは2005年に発表された「エンツォ・フェラーリ」をベースとする29台の限定車、「FXX」の登場とともに始まったもの。
そのわずか29人のカスタマーは「ピロータFXX(FXXパイロット)」もしくは「カスタマーテストドライバー」と呼ばれ、フェラーリのカスタマーレース部門、「コルセクリエンティによる全面的なサポートのもと、このサーキット走行専用車をドライブすることが可能だった。
サーキット走行専用車という言葉からも想像できるように、このFXXは公道での走行も、またレースへの参戦もできないモデルだった。その価格は、車両本体に各種のメンテナンス費用を含めた基本パッケージで、デビュー当時で150万ユーロ(約2億円)ときわめて高額なものだったが、それでもわずか29台のFXXを手に入れるために名乗りを上げたカスタマーは、それ以上の数に達したという。
FXXはそれほどに魅力的な、そしてフェラーリ・カスタマーのヒエラルキーにおいては、その頂点に位置する者のみが購入することが可能なモデルだったのである。
フェラーリがFXXを開発した理由のひとつには、その走行で得られた各種データを将来の新型車開発に役立てるというもうひとつの目的があった。参考までにFXXに搭載されたエンジンは6262cc仕様のV型12気筒で、最高出力は800馬力と、エンツォのそれよりさらに140馬力も強力なもの。
それだけのハイパフォーマンスモデルは、サーキット走行やレースを楽しむドライバーから、どのように扱われているのか。それを検証するためにフェラーリは高性能なテレメトリーシステムをFXXに搭載し、39種類もの運動性能のデータを常時監視することを可能にしたのである。
そこから得られたデータは、のちにフェラーリが発表したさまざまなプロダクションモデルの開発に生かされたという。とりわけスタビリティデバイスやトラクションコントロールといった領域における進化おいては、FXXから得られたデータは大いに役立った。
FXXをドライブするにあたっての、コルセクリエンティのサポートもまた、カスタマーには「フェラーリ・レーシング・デイズ」などのオフィシャルプログラムでは特別な走行枠が与えられ、マラネロの本社に自身のFXXを預けておけばマシンは航空便でサーキットに輸送されるほか、現地ではFXXプログラムを担当する特別チームによるメンテナンスを受けることもできた。
ホスピタリティもまた万全の備え。カスタマーはまさに身ひとつでサーキットに向かえば、ありとあらゆるサポートを受けて、最上のホスピタリティのもとFXXの走りを楽しめたのだ。