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コストカットだけじゃ日産は復活できない! 日産ファンのライターが語る「トヨタを見習うべき」ポイントとは (2/2ページ)

コストカットだけじゃ日産は復活できない! 日産ファンのライターが語る「トヨタを見習うべき」ポイントとは

この記事をまとめると

■2024年度の赤字は約6000億円とゴーン以前の危機に匹敵

■単なるコストカットでは限界があり日産らしい「いいクルマづくり」がカギとなる

■現場力と技術力を活かせるかどうか新社長の手腕に期待がかかる

かつての「日産リバイバルプラン」前夜に匹敵する赤字を計上

 2025年、日産自動車は極めて深刻な経営危機に直面している。2024年度(2025年3月期)の最終損益はマイナス6079億円。この数字は、ルノーとの資本提携直前であった1998年度(1999年3月期)のマイナス6840億円という過去最大級の赤字に迫るものだ。

 この危機に対し、新たに打ち出された再建策では、世界で約2万人の従業員削減と7つの工場閉鎖を含む大規模なリストラだ。これは、1999年にカルロス・ゴーン氏が掲げた「日産リバイバルプラン」を彷彿とさせる。

2度目の再建は単なるコストカットや構造改革だけでは難しそう

 ただし、今回の危機が1999年と大きく異なるのは、すでに「売れるものを売って身軽になった」ことにある。当時、日産は自動車以外の事業や資産、系列会社への出資、部品の大量発注にともなう値下げ交渉など、コストカットできるものが山ほどあった。いいかえれば、長年かけて付いた脂肪を緊急手術で取り去り、健全な状態に整えたといえばわかりやすいだろうか?

 ところが、2025年現在では、すでにスリムになった状態(役員の多さを含めて人的に肥大化したままだったかもしれないが……)で、再び深い傷を負っている。つまり、コストカットや構造改革といった外科的手法だけでは回復が難しい。内田誠氏を引き継いでCEOとなったイヴァン・エスピノーサ氏が掲げる再建プランである「RE:NISSAN」では、2026年3月までの黒字転換を目指すと発表。経営者の資質としては未知数ながら、開発畑出身でさまざまな現場に足を運ぶタイプという点には、日産ファンとして好感がもてる。

復活の秘策はライバルを見習うことにあり⁉

 では、なぜ日産は25年の歳月を経て再び大きな赤字に陥ったのか? 「アメリカ、中国の需要の減退」「新型車の投入遅れによるクルマの魅力の落ち込み」「経営陣の求心力の低下」「世界的な自動車の流れとのズレ」など要因はひとつではないが、ここでは個人的な視点として「今後どうすれば復活できるのか」を挙げたい。

 参考にすべきは現在のトヨタの姿勢だ。ただし、トヨタの生産方式やサプライチェーンの話ではなく、豊田章男会長が繰り返し口にする「いいクルマをつくろう」という明確な意思表明である。いまの日産にそれが欠落しているとは思わないが、もっと前面に打ち出していいと思う。

 日産失速のひとつの要因は、カルロス・ゴーン氏の成果とされる黒字化の延長線上にあると考える。財務改善に向けた合理化のなかで、収益に即直結しない新しい技術開発は凍結され、現場は「グローバルでどのくらい売れて、いくら儲かるのか」という指標に縛られ、車両の開発予算はカット。ゆえに思い切った開発ができず、手もちの技術でやりくりをするしかなかったと聞く。

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