
この記事をまとめると
■ランドローバーのディフェンダーに特別仕様車「OCTA」を設定
■ディフェンダー史上最強のパワーユニットを搭載し悪路にも強い足まわりを採用
■2025年モデルは完売しているが2026年モデルでも設定される予定だ
ディフェンダー史上最強モデル現る
ディフェンダーOCTAは、ランドローバーが新たに立ち上げたパフォーマンス部門「SV(Special Vehicle)」が手掛ける、まさに”究極”のディフェンダーだ。
そのネーミングである「OCTA」は、ダイヤモンドの硬度と耐久性を象徴する八面体(Octahedron)に由来するという。このネーミングからも並々ならぬ自信が込められていることが伺える。 心臓部には、ランドローバー史上最強となるパワートレインが搭載される。
BMWに由来するマイルドハイブリッドの4.4リッターV型8気筒ツインターボエンジンだ。その最高出力は635馬力、最大トルクは750Nmを誇る。この圧倒的なパワーで巨体であるディフェンダーを、まるで軽量スポーツカーであるかのように加速させる。
0-100km/h加速はわずか4.0秒。SUVというカテゴリーを逸脱した、まさにスーパーカーレベルの加速性能を誇っているのだ。 そして、OCTAの真骨頂は、その足まわりにある。新開発された革新的な油圧式連動エアサスペンションシステム「6Dダイナミックス」が初採用されているのだ。このシステムは、従来のスタビライザーを廃し、エアサスペンションと油圧ダンパーの減衰力コントロールで、ロールとピッチをほぼ完全に抑制するという。
オフロード走行時には最大70mm車高を上げホイールトラベルを最大化し、オンロード走行時にはフラットな姿勢を維持する。まさに、オフロードでの走破性とオンロードでの操縦安定性を両立させるための、夢のようなテクノロジーだ。さらに、ブレンボ製6ポッドキャリパーと大径ディスクを備えた高性能ブレーキシステムは、OCTAの運動性能を確実にコントロールする。
エクステリアもOCTA専用デザインが随所に散りばめられている。菱形のOCTA専用ロゴがあしらわれた大開口のフロントグリル、全幅+70mmを可能とするエクステンデッドホイールアーチ、そして大径の専用ホイールとオールテレインタイヤを備える。内装もまた、OCTA専用の素材とトリムが奢られ、機能性はそのままにラグジュアリーさも追求した空間が広がる。
まず一般道からワインディングロードへとOCTAを走らせる。浅間高原の緩やかなカーブから、タイトなヘアピンまで、変化に富んだ山道は、車両のオンロード性能を試すにはうってつけだ。
OCTAは、これほどの巨体でありながら、まるで小型のスポーツSUVを操っているかのような軽快な感覚だ。アクセルを踏み込むと同時に、穏やかに、しかし力強いトルクが瞬時に発揮させられており、登り勾配の坂道も身軽にクリアしていく。驚くべきは、その加速以上に、圧倒的な扱いやすさとロールの安定感だ。
ワインディングのコーナーに進入する際、通常であればこれほどの車高と重量をもつSUV車は大きくロールし、不安感を覚えるものだ。
しかし、OCTAはまるでレールの上を走るかのようにフラットな姿勢を保ち、わずかなロールもピッチも感じさせない。視線がブレることなく、正確にコーナーの先を見据えることができるため、ドライバーは安心してステアリングを切り込んでいける。このステアリングシステムも13.7:1のクイックなギヤ比が与えられたユニークなものだ。
これらは、オフロードでの不整地走行において、常にタイヤを路面に接地させ、最大のトラクションを得るためにランドローバー社が積み重ねてきた技術を、オンロードの一般道においても完璧なまでに機能させている証だ。 タイトなカーブが続くセクションでも、ステアリングを切るたびに、正確にノーズがインを向く。ステアリングフィールは極めてリニアで、路面からのインフォメーションも的確に伝わってくる。
意図したどおりのラインを正確にトレースできるのは。まるでスポーツカーのようだ。巨体ゆえの慣性モーメントを感じさせない俊敏性は大型SUV車の常識を覆すレベルにある。2mオーバーの車幅を感じさせない扱いやすさは、OCTAの美点といえるだろう。
そして、強力なブレンボ製ブレーキシステム。は下り勾配のタイトなカーブの連続でも安定した制動力を発揮させる。アンチノーズダイブジオメトリーで制動時のノーズダイブは極めて少なく、一方でリヤサスペンションのリバウンドストロークが後輪を安定して接地させる。これは新開発の6Dダイナミクスによる姿勢制御が従来の弱点を克服したことのひとつの表れだ。
6Dダイナミクスは前後・左右のエアサスペンションとTRIバルブダンパーをX配管で連結し、バンプ側とリバウンド側ストロークを理想的に設定し、フラットライドを完璧に実現できている。次のカーブへの進入姿勢が楽になり、これほどの重量級車両のアジリティを飛躍的に高めていることがわかった。それでいて、乗り心地面は硬さを抑え、エアサスペンション独特なしなやかさでプレミアムサルーンとしての乗り味も備えているのだ。