
この記事をまとめると
■FF車はコストを下げられて車内も広くできるなど効率がいい
■合理的なFF車であるがネガティブなイメージをもっている人が一定数存在する
■FFの走りっぷりにネガティブなイメージを抱くのはいまや先入観が強すぎる
なぜFFは毛嫌いされるのか?
いまや乗用車の大半はFF車だ。FF車は効率がいい。エンジンと駆動系が一体となってフロント部に集中するので、部品点数が少なく、製造コストを下げられる。横置きエンジンなら室内も広くできるし(フロアも低く平らにできる)、車重も軽くできるので、燃費も有利。重量物がフロントに集まっているので、直進安定性がいいというのがメリットだ。
このようにとっても合理的であるがゆえに、今日のFF全盛期を迎えたわけだが、走りにこだわる人、ハンドリングの質感にこだわる人には、FFアレルギーがある人がいるようだ。当今のように軽自動車からミニバンまで、FFもしくはFFベースが主流になっても、FFにネガティブなイメージがあるのはなぜなのか。
主に4つの理由が考えられる。
ひとつ目は、重量配分がフロントヘビーになってしまうため。エンジン、駆動系がすべてフロント部で完結するFF車は、質量の中心がフロントに集中するため、必然的にフロントヘビーのクルマになる。それを相殺するためと、FFの長所である室内スペースとトランクルームをより広くするために、ホイールベースを長くとる傾向があるが、フロントヘビーでロングホイールベースということは、直進性に優れる代わりに操縦性は劣るということ。
何事も一得一失は世の常なので、真っ直ぐに走るのが得意なクルマは、基本的には曲がりにくい。これが、ハンドリングにこだわる人がFF車を避ける第一の原因。
ふたつ目はトラクションの問題。クルマはアクセルを踏んで加速をすると、荷重が後ろに移動し、ノーズアップ、前上がりの姿勢になる。これは物理的な問題なので、どんなクルマも避けられない。しかし、FF車は前輪が駆動輪なので、発進時やコーナリングの脱出時、あるいは加速時にアクセルを踏み込むと、フロントの荷重が薄れて、駆動輪にかかる荷重が減って、大きなパワーをかけるとそれを受け止めきれなくなり、トラクションが抜けてしまうことになる。したがって、FF車は原理原則として大パワーエンジンには不向きだ。