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クルマ好き垂涎のアルミホイールといえばBBS! BBSが特別視される理由を歴史から探る

クルマ好き垂涎のアルミホイールといえばBBS! BBSが特別視される理由を歴史から探る

この記事をまとめると

■BBSは1973年に鍛造3ピースホイールを開発し世界的評価を獲得した

■1985年には世界初の1ピース鍛造アルミホイールを実現し耐久性と信頼性を大きく向上

■日本のワシマイヤーとの提携が発展を支え市販車やレースの世界でも支持を得た

アルミホイールの金字塔

 アルミホイールとして長年その最高峰と憧れられてきたのが、BBSだ。BBSは、創業者2人の名前と創業の地の名、それぞれの頭文字を組み合わせた社名である。

 創業者の名前は、ドイツ人のハインリッヒ・バウムガルトナーと、クラウス・ブラント。そして創業の地は、ドイツ南部バーデン=ヴュルテンブルクのシルタッハだ。バーデン=ヴュルテンブルクの州都はシュツットガルトであり、ここはメルセデス・ベンツとポルシェの本拠地でもある。シルタッハは、シュツットガルトの南西に位置する3500人ほどの町だ。

 創業者のひとりであるバウムガルトナーは、シルタッハで整備工場を営みながらレースに出場していた。その経験から、レース用ホイールでもまだ軽量化が足りないと考え、アルミ鍛造の3ピースホイールを開発した。それが、1973年のことである。

 日本でも1960年代後半に、エンケイがアルミホイールを輸出しはじめるなどアルミホイールが次第に世に出はじめるが、多くは鋳造による製法だった。鋳造は、型に溶けた材料を流し込み、冷やして固まったところで製品になる。

 一方、BBSが取り組んだのは鍛造だ。これは材料を高圧で押しつぶすようにして成形する。材料の密度が高くなるので、強度がより高くなるのが特徴だ。しかし逆に、きめ細かな形に造形しにくい難しさがある。それに対し鋳造は溶けた材料を型に流し込むため、製品をいろいろな形に仕上げやすい利点がある。

 アルミ製品のつくりかたの違いによってそれぞれ長所と短所があるが、BBSが世界的な評価を得た理由は、軽くても強度を高められる鍛造を用いながら美しい網目の見栄えを実現したからだ。それを達成するため、当初は、内/中/外の3部位(3ピース)を組み立てる構造だった。

 その後、1ピースによる鍛造アルミホイールを、1985年に世界ではじめて実現する。強度も軽さもさらに向上するだけでなく、空気漏れをなくす究極のアルミホイールとなったのだ。

 こうしたBBSの技術発展に大きく貢献したのが、日本の企業である。富山県にあるワシマイヤーは、糸巻の強度を高める技術をもち、これを鍛造アルミホイールに適用することになった。BBSとワシマイヤーの提携は1983年に実現した。

 BBSの鍛造アルミホイールは、軽さと強度、そして鍛造であるがゆえにしなやかにたわむ靭性にも優れ、超高速で走行するレーシングカーが縁石などに乗り上げても衝撃を受け流しながら走りつづけることを可能にし、F1やプロトタイプスポーツカーによる耐久レースなどで強みを発揮した。国内では、R32から34までの日産スカイラインGT‐Rに採用されている。

 今日では優れたアルミホイールが各社から売り出されているが、マグネシウムを含め、鍛造によるアルミホイールの先駆者としてBBSの名はなお憧れの対象であるとともに、日本企業の技術を後ろ盾としてきた歴史に、日本人はより親しみも覚えるのだろう。

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