
この記事をまとめると
■トランプ大統領は輸入するクルマに最大で25%の追加関税を課す計画を発表した
■いまのところ北米における日本車の売れ行きに目立った変化は見られない
■日本メーカーは利益を削って値上げ額を最小限度に抑えて堅調な売れ行きを維持している
トランプ関税が導入されてからの日本車の売れ行きは?
いまの自動車業界では、いわゆる「トランプ関税」に対する関心が高い。2025年3月に、トランプ大統領は、アメリカが輸入するクルマに最大で25%の追加関税を課す計画を発表した。その一方で、米国内で生産すれば、関税を課さないとも述べた。
以前より日本から北米に輸出するクルマには、2.5%の関税が課せられていた。それが2025年4月になると、トランプ大統領の発言どおり、25%の追加関税が実施されている。合計すれば関税は27.5%だ。交渉の結果、今後は追加関税を15%に引き下げるとしているが、その時期は不明だ。
注目されるのは、北米における日本車の売れ行きだ。目立った変化は見られず、むしろ対前年比が上向いているメーカーもある。
この背景にあるのは、関税の引き上げをそのまま価格に転嫁していないことだ。たとえばトヨタの値上げは7月以降に実施され、値上げ幅は日本円にして約4万円だから、関税の引き上げをすべて値上げにまわしたわけではない。他社も同様で、関税の引き上げに伴い、損失を被っている。
この影響で、2025年4〜6月の決算は、各社とも減益だった。利益を削って、北米市場での値上げ額を最小限度に抑え、堅調な売れ行きを維持している。
日本車が1970年以降に北米で売れ行きを増やした背景には、1950年代から左ハンドル車を製造して対米輸出を行い、アメリカのユーザーに寄り沿う商品を提供してきた事情がある。日本のメーカーは、追加関税にも商品開発と同じ姿勢で向き合い、好調な売れ行きを保っている。