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後ろを走ると「自分が写ってるじゃん」……ってドレスアップじゃなかった! 鏡のようにピカピカのタンクローリーが積む「タンクの中身」と「鏡面仕上げ」にする理由

後ろを走ると「自分が写ってるじゃん」……ってドレスアップじゃなかった! 鏡のようにピカピカのタンクローリーが積む「タンクの中身」と「鏡面仕上げ」にする理由

この記事をまとめると

■タンクローリーは化石燃料や気体などを運んでいる

■中身によってタンクの材質が異なる

■ステンレスの鏡面仕上げになっているタンクローリーは飲料輸送に使われる

ピカピカなタンクの中身

 車両後部に、円柱あるいは楕円柱のタンクを装備しているタンクローリー。ガソリン・軽油・ガスなどを運ぶ化石燃料運搬車は、タンクに積載物の名前や石油会社の名前・ロゴなどが、描かれているのですぐにわかる。一般の人が、タンクローリーといえばガソリン運搬車だと思うのは、この刷り込みのせいかもしれない。

 しかし実際のところ、その用途はじつに多様であるという。化石燃料はもちろんのこと、気体・毒劇物・紛粒物・飲料液体など、さまざまなものを運んでいるのだ。

 当然のことだが、同じタンクローリーが積み荷を変えて輸送しているわけではない。運搬物によってタンクの材質・構造などが違うために、積載物ごとに専用運搬車両として運用されている。

 そのなかで、ひときわ目につくタンクローリーがある。高速道路などを走っているときに、鏡のようにピカピカのタンクを見かけることがある。追い越そうと近づいて行けば、めったに見ることのできない自車の走行シーンを目にすることができる。あまり見入ってしまうと危険だが、ついチラ見をしてしまったドライバーも多いだろう。

 そしてこのタンクローリーは、主に飲料(薬品を含む)を輸送するために使用されているものだ。タンクの材質にはステンレスが使用されている。その理由はステンレスの特性が飲料の貯蔵素材として適しているからだ。

 そもそも、車両にはコストと剛性が求められることから、ボディには鉄を加工して使用する場合がほとんど。ただ、鉄は重量があることに加えて、酸化しやすい(錆びやすい)という欠点をもつ。

 そこで、軽くて耐食性のある素材としてアルミが使われるが、これは酸には弱いうえ、強い剛性を求められる場所には向いていない。ゆえに、シャシーやキャビンなどには鉄が使用されており、箱バンの荷室などにはアルミが使われるのだ。ステンレスは剛性があって耐食性が高いものの、コストに問題を抱えている。

 これらのことからも明らかなように、化石燃料・気体・毒劇物・紛粒物といった積載物には、基本的に鉄製のタンクを使用するのがもっとも合理的なのである。ただ、酸化を防止するために必ず塗装をしなければならない。石油会社の名前やロゴが、タンクローリーに描かれているのをよく見かけるのは、これが理由である。

 一方、飲料には異物の混入があってはならない。塗装をしたタンクの場合、それが剥がれて混入するリスクを負わなければならなくなる。ステンレスは耐食性が高いから、塗装をする必要がない。というより、アルミ同様に塗装が難しい素材なのだ。コストはかかるものの、先にも触れたように飲料の貯蔵設備としては最適の素材なのである。さらに、ピカピカの見た目は清潔感があって、飲料輸送のイメージにぴったりだ。

 とはいえ、いくらステンレスでも地金が鏡のようになっているわけではない。研磨加工をして、鏡面のように仕上げているのだ。そこまでするのは、耐久性を向上させるためなのだという。日ごろ、何気に見ているタンクローリーだが、積み荷に合わせて細かな設計がなされているのである。

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