
この記事をまとめると
■信号待ちの際にバイクを降りて歩道の上を押してショートカットする人がいる
■法律上では二輪車から降りて手で押して歩いている場合は歩行者扱いとなる
■ほかの歩行者の通行を妨げる大きさおよび構造の二輪車だと歩行者扱いにならない
歩道でバイクを押してショートカットするのは合法?
交差点の信号待ちで渋滞しているとき、後ろから走ってきたバイクが降車して車道から歩道へ移り、手でバイクを押して歩道を進み、交差点の先で再び乗車する様子を見かけることがあります。このような行為は違反にならないのでしょうか。今回は、バイクから降りて手で押して歩道を通行することが違反になるのか解説します。
二輪車を押して歩いているときは歩行者という扱いになる
道路交通法では、二輪車から降り、手で押して歩いている場合は「歩行者」として扱われることが明記されています。その根拠となるのは、道路交通法第2条の3です。
【道路交通法第2条の3】
この法律の規定の適用については、次に掲げる者は、歩行者とする。
大型自動二輪車または普通自動二輪車、二輪の原動機付自転車、二輪または三輪の自転車その他車体の大きさおよび構造が他の歩行者の通行を妨げるおそれのないものとして内閣府令で定める基準に該当する車両(これらの車両で側車付きのもの及び他の車両を牽けん引しているものを除く。)を押して歩いている者。
条文からもわかるとおり、二輪車から降りて手で押して歩いている場合、法律上「歩行者」になるということです。
バイクから降りて歩道で押して歩いていい二輪車には条件がある
いくら法律上問題ないとはいえ、交通量や横断歩行者が多い交差点の信号待ちでバイクから降り、ショートカットして交差点を通過するのは、そのほかの交通に危険が生じる可能性があることからよくないのではないか? と思う方もいるのではないでしょうか。
たしかに、法律では二輪車から降りて押して歩いていれば歩行者になると明記されていますが、先出の条文にもあるとおり、ほかの歩行者の通行を妨げる大きさおよび構造の二輪車だと、歩行者として認められません。
また、先出の条文のカッコ書きで「これらの車両で側車付きのものおよび他の車両を牽引しているものを除く」と明記されていることから、法律の基準に該当していない二輪車やほかの歩行者の通行を妨げる装置(側車など)が取り付けられている二輪車は、歩道を通行することができないということになります。
迷惑になりそうなときはショートカットしないほうがいい
ルール上問題がないものの、歩行者が多い場所で二輪車が突然車道から歩道に進入すると周囲を驚かせてしまうことがあります。また、車道と歩道の境目が段差になっている場所では、歩道に乗り上げる際に二輪車を転倒させて歩行者にケガを負わせてしまうおそれもあるでしょう。
このように、車道から歩道に移動する際は、さまざまな危険があります。交差点の信号待ちや渋滞などをショートカットするために、車道から歩道に移動する際は、歩道を通行している歩行者の迷惑にならないか、転倒する恐れがない場所で移動できるかなど、さまざまなことを考えながら行うようにしましょう。