
この記事をまとめると
■大型トラックには速度抑制装置が装備されている
■時速90kmしか出せないスピードリミッターだ
■重大事故の多発を受けて装備されたものだが制限されることでかえって危険な場合もある
トラックの速度リミッターは苦痛でしかない
子どものころに車体が大きなトラックに憧れた少年は、きっと多いに違いない。この記事を執筆している筆者もそんなひとりで、20歳のころに好きが高じてトラックドライバーの世界へと足を踏み入れた。やがて大型免許を取得して、憧れの長距離ドライバーとして全国各地を駆けまわったのである。
そんな筆者も、トラックを降りて10年以上が経過した。年々規制が厳しくなるなかで、トラックを降りてよかったと感じることは多い。もちろんいまでもトラックが大好きであるが、いまの時代に大型トラックに乗りたいという気もちが芽生えないほど、運送業界は様変わりしてしまったのである。
トラックドライバーとしての人生を終えたあと、筆者はデコトラ専門誌の編集者として生きるようになった。仕事内容は肉体労働からデスクワークへと大きく変わったが、トラックと縁のある世界で過ごしているのは変わらない。それほどまでにトラックを愛しているのだが、自由で気楽だった現役当時の思い出が、令和の時代にトラックに乗りたいという思いを妨げているのだ。
ならば、いったいどこがどう変わったというのか。今回は、速度抑制装置の義務付けについて綴りたいと思う。
速度抑制装置とは、いわゆる時速90kmしか出せないようにするというスピードリミッターのこと。高速道路をはじめとする大型トラックによる深刻な交通事故の影響を受けて、義務付けされたものである。その背景には環境問題を考えたものもあるというのだが、主たる目的は重大事故を減らそうという考えなのだろう。
大型トラックに速度抑制装置、いわゆるスピードリミッターが義務付けされたのは、平成15年のこと。いまから22年前ということになるため、筆者も速度抑制装置が備えられた大型トラックに乗っていた。最後に勤めた運送会社で担当した大型トラックが、その対象だったのである。