
この記事をまとめると
■アウディが「美し過ぎる」と話題騒然のコンセプトCを世界初公開した
■コンセプトCは新デザインフィロソフィ「The Radical Next」に基づいてデザインされた
■次世代のデザインフィロソフィがアウディのラインアップへどんな展開力を示すのかに注目
話題騒然! アウディ・コンセプトCはどこがスゴいのか?
9月2日にミラノで世界初公開されるや、その斬新なデザインが大きな反響を呼んでるアウディ・コンセプトC。すでに「美しすぎる」「こんなアウディを待っていた」など多くの声が聞かれます。かなり思い切った提案は、今後のアウディをどう変えて行くのか? 今回は公開された写真からその可能性を探ってみたいと思います。
アウディの本質に立ち戻るデザイン
何やら異世界から突如現れたような斬新感満載の同車。いかにも見る人の度肝を抜いてやろうというボディですが、このクルマで提示された新しいデザインフィロソフィ「The Radical Next」の要素を見ると「明快」「技術」「知性」「エモーション」という意外なキーワードで構成されています。
どこが意外? いや、この4つのキーワードをあらためて見れば、どれもアウディが以前から掲げていたか、もしくは表現していたものばかりなのです。特段新しい目標じゃない。つまり、もともとアウディ車がもっていた特徴をいま一度整理し、再構築した上で次世代を目指そう。筆者にはそう思えるのです。
実際、前任のマーク・リヒテから新たにデザイン責任者に就いたマッシモ・フラスチェッラは、今回の提案に当たって1936年のアウトユニオン・タイプCや2004年の3代目A6にインスパイアされたと語っています。さすがに前者は象徴的な意味が大きいかと思いますが、3代目A6には大いに納得感があります。
ご存じのとおり、3代目のA6は当時VWグループが展開していた高級化路線の流れのなかで、日本人デザイナーの和田 智によりシングルフレームを初めて採用したモデル。そのシンプルかつ高質なボディはまさに明快さや知性をもつものであり、同氏による初代A5へつながる上質なエモーションも感じさせたのです。
そうして、いわばアウディデザインの黄金期に立ち返った上で、2025年らしい新しさとしてチタン素材による徹底したシンプルさ、ミニマリスト的表情を打ち出したのではないか? 見方を変えれば、いささか過度なエッジやラインで迷走気味だったここ数年のスタイリングを大きく軌道修正したともいえます。
幅広いラインアップにどう展開するかがキモ
さて、斬新なこのアウディ・コンセプトCですが、徹底的に磨き込まれたミニマムな表現が決して夢物語でないことは、先のマッシモ・フラスチェッラがジャガー・ランドローバー時代に手がけた、現行のディフェンダーやレンジローバーを見ればよくわかります。
また、そのジャガーのコンセプトカーであるタイプ00との近似性も語られますが、とりわけプランビューでのキャビンやフェンダーの形状を見れば、こちらのほうがより具体的で現実的な造形であることもわかります。
ただ、ジャガーとの違いは、アウディがA1やA3、Q2などのエントリーモデルを含めた幅広いラインアップをもつブランドであること。今回は、TTを思わせるスペシャルなスポーツクーペなので図抜けた斬新さも似合いますが、それがエントリーモデルにどこまで反映されるかには大いに興味があります。
とりわけ今回は「バーティカルフレーム」と呼ばれる細く垂直な「顔」に注目が集まっていますが、この超個性的なフレームが次世代のシングルフレームとして、アウディの全ラインアップへどんな展開力を示すのかも注目点といえそうです。