
この記事をまとめると
■3代目プレリュードには「プレリュード inx(インクス)」なるモデルがあった
■固定式ヘッドライトとグリルをもつインクスはプレリュードとは印象の異なるモデル
■インクスはフルモケット表皮をもつシートや布張りのルーフライニングなど高級路線だった
3代目プレリュードにはリトラじゃないモデルも存在した
先日、およそ24年振りにその車名が復活し、国産車としては稀有なスペシャリティクーペとして話題を集めているホンダ・プレリュード。ただ、往年のファンからしてみれば、やはり2~3代目に採用されていたリトラクタブルヘッドライトを用いた低いボンネットのシルエットこそプレリュードという意見もあるようだ。
しかし、じつはそんなリトラクタブルヘッドライトを採用した3代目プレリュードには、途中で追加された固定式ヘッドライトを備えた「プレリュード inx(インクス)」なるモデルが存在していたのである。
1987年4月に登場した3代目プレリュードは、デートカーとして人気を博した2代目モデルのキープコンセプトで登場し、そのスタイリッシュなエクステリアと量産乗用車としては初となる機械式4WSを備える先進性で高い人気を誇った。
そんな3代目プレリュードが1989年11月にマイナーチェンジを実施したタイミングで追加されたのが、前述の固定式ヘッドライトを備えたプレリュード インクス(以下インクス)だったのだ。
このインクスのフロントマスクには、当時のアコードなども採用していた横長の薄い固定式ヘッドライトが与えられており、ライトの間にはグリルも備わっていてバンパーも専用デザインとしたことで、真正面から見ると一瞬プレリュードあることに気付かないほど異なる印象を備えていた。
また、単にフロントマスクを変更しただけでなく、インクスはプレリュードよりも落ち着いた雰囲気をもつモデルとして、フルモケット表皮をもつシートや、布張りのルーフライニングとサンバイザー、そして本革巻ステアリングホイールが与えられており、価格は通常のプレリュードの同グレード比で3万円高となっていた。
さらに、通常のプレリュードには設定されていないSRSエアバッグシステムを搭載した「Si SRS」というグレードも設定し、スポーティなプレリュードとラグジュアリーなインクスというキャラクターわけがなされていたのである。
なおこの固定式ヘッドライトの採用は、カナダで1990年からDRL(デイタイムランニングライト)の点灯が義務化となり、アメリカでも多くの車両が標準装備となっていたことで、北米市場向けの改良時に投入されるものとの見方があったが、実際には北米市場にインクスが投入されることはなく、1991年9月に4代目の登場とともに終売となり、わずか2年弱の短命モデルとなってしまった。