
この記事をまとめると
■世界的クラシックカーオークションのRMサザビーズでは億単位の落札が常態化している
■登録こそ簡単だが落札後の保険や輸送手続きは仲介業者が不可欠となる
■現地参加はさらに経費がかさむが希少車入手の醍醐味がある
本物のセレブたちがクルマを取引する超高級オークション
高級車の領域をはるかに越えたクルマ、すなわちビリオネアたちがコレクションに加えるようなものをパカスカ出品しているオークション、それがRMサザビーズ。なにしろ、億単位の売り物がゴロゴロしており、宝くじに当選したくらいでは頭金くらいにしかなりません。とはいえ、手が出しやすい価格の売り物もそこそこあるので、庶民とてオークションに参加するのは夢のある話。そのあたり、探ってみましょう。
RMサザビーズは、当初カナダにあったクルマ専門オークションの「RMオークション」が発祥で、その後ニューヨークに本拠を置く世界的オークショニア「サザビーズ」と合資。いまや世界中の価値あるクルマはRMサザビーズ経由でないと手に入らないとさえいわれる超高級オークションです。ご承知のとおり、フェラーリ250GTOが54億円で落札され、バーンファインド(長期間、倉庫や納屋で眠っていたクラシックカー)のデイトナや、トレーラーに積まれた6台のレンシュポルト・ポルシェ丸ごと売ります、など話題性にも事欠きません。ならば、大金もちが「いっちょ古いフェラーリでも買ってみるか」となるのも当然の流れ。
公式サイトを見れば、売り物はもちろん、現車を見ながら入札できるイベント情報なども案内されているので、さほどハードルは高くない気もします。が、ここは海外オークションでクラシックカーを手に入れたことのある人物から経験談を聞いてみました。都内で代々続く大地主でありつつ、家族からは見放され自ら所有するタワマンの最上階にポツンとひとり暮らし。心を許せるのは、千葉県某所の倉庫にしまった数々のクラシックカーだけという、一風変わった人物であること、最初にお断りしておきましょう。
「RMサザビーズね、何度か使ったことがある。たしか、(ジャガー)XKSSのポンコツとチーター(1963年、GM製6.2リッターV8搭載、コブラのライバルなどと称されました)を手に入れた。やっぱり、ヨーロッパのクルマよりアメリカ車に強い印象だったな」
そもそもご自分でオークションに参加、入札をなさったのですか?
「んなわけねーだろ、英語できないんだから。まだ翻訳ソフトも不十分だったから、ロシアンパブにいたアルメニア人の女性キャストに手伝ってもらったんだ。でも、簡単な話だよ。名前やメアドを登録すれば、ウェブサイト上の入札はできるようになる。で、1回でも入札履歴があると、そのあとに似たようなクルマが出品されるとうざいほどメールが来るようになるんだ。面倒くさいから登録抹消しちゃったよ」
とはいえ、ジャガーとかチーターとか落札されたんですよね。これまた、アルメニア人に頼んだんですか?
「いや、RMでもボナムス(イギリスの名門オークショニア)でも同じだけど、買ったあとの手続きがややこしいから、オレは仲介業者に頼んだ。知ってると思うけど、クルマの代金と手数料払えばいいってもんじゃない。保険料やら日本に着いてからの手続きやら、自分でやってたらヘドが出るくらい面倒だぜ」