
この記事をまとめると
■自転車の飛び出しでバスが急停止し乗客が負傷した事故で自転車運転者が捜査対象に
■直接接触がなくても事故原因を作った側には救護義務が発生し、怠れば「ひき逃げ」に
■車両を運転する以上は免許の有無を問わず応急救護への理解と実践が求められている
直接接触していなくても「ひき逃げ」になる可能性は十分にある
路線バスが自転車の飛び出しにより急ブレーキをかけ、バスに乗車していた人がケガをするという事故が発生し、自転車の運転者が「ひき逃げ」などの疑いで捜査されているというニュースがありました。自転車の運転者が間接的にケガをさせたという今回の事故は、なぜ「ひき逃げ」などの疑いで捜査されたのでしょうか。
そもそも「ひき逃げ」は、交通事故が発生したときに運転者が行わなければならない救護義務に反した場合に適用されます。
運転者の義務である交通事故発生時の応急救護は、直接ケガをさせたときだけでなく、間接的に負傷させた場合も行わなければなりません。
そのため、自転車の飛び出しにより路線バスが急ブレーキをかけ、バスの乗客がケガをした場合、事故の発生原因である自転車の運転者にも救護義務が発生しているということになります。
このようなことから、自転車の運転者が「ひき逃げ」などの疑いで捜査されているのです。
交通事故を起こしたり誘発させたりしたときは一度クルマを止めて状況確認することが大切
交通事故を起こしたり、誘発させたりしたときに、その場から立ち去ってしまうと「ひき逃げ」という扱いになる可能性が高くなります。
直接的に被害者を負傷させてないからという理由で事故現場から立ち去り、「ひき逃げ」として捜査されないようにするためには、自分が交通事故に関係していると考えられるときに、クルマを止めてけが人がいないか確認したり、負傷者がいるときに救急車を呼んだり、警察に通報したりするなど、車両の運転者として適切な対処をすることです。
また、今回の自転車と路線バスの件からもわかるように、クルマだけでなく、自転車を含む「車両」に分類される乗り物に乗車している運転者は、交通事故を起こしたときに救護義務が発生することを再認識しておくことも重要なポイントとなります。
応急救護は、運転免許を取得するときに教習所などで学ぶため、運転免許不要の車両には関係ないと思われがちです。しかし、車両を運転するということは、事故など万が一のことが起きたときに責任を負わなければならないことを意味します。
そのため、運転免許が必要な車両を運転するときだけでなく、免許不要の乗り物に乗る場合であっても、応急救護に関する知識が必要なのです。
応急救護を学べる場所は多くありませんが、インターネットや動画などを通じて知識を得ることができます。もしもの時のためにも、改めて応急救護について調べたり、復習したりしておくとよいでしょう。