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ディーラーの数が少ないから……が理由じゃない!? クルマの完成度はどれもこれも素晴らしいのにドイツ車ほどフランス車が売れない理由を真剣に考えてみた (1/2ページ)

ディーラーの数が少ないから……が理由じゃない!? クルマの完成度はどれもこれも素晴らしいのにドイツ車ほどフランス車が売れない理由を真剣に考えてみた

この記事をまとめると

■輸入車市場ではドイツ車が圧倒的に好調な一方でフランス車は販売低迷が続く

■日本人とフランス人ではデザインや性能に対する感性が根本的に異なる

■国民性の差が購買意識に影響しフランス車の魅力が伝わりにくい構造となる

どうにもこうにもフランス車が売れていない

 日本自動車輸入組合が2025年10月6日に発表した2025年度上半期輸入車新規登録台数(速報)によれば、同期間の第1位はメルセデス・ベンツの2万5351台。2位は海外生産分のスズキ車だが、3位にBMWの1万7834台が入り、4位のホンダ海外生産分を挟んで5位、6位にフォルクスワーゲンとアウディが続く。そして7位にBMW・MINIの9645台が入り(BMWと足して考えれば輸入車ナンバーワンだ)、かなり高額なモデルばかりとなるポルシェも、9位の4535台と堅調である。

 要するに「ドイツ車は全部売れている」ということだが、それに対してフランス勢は、プジョーがなんとか3434台を売って15位に入ったものの、ルノーはわずか1311台の18位。シトロエンも1284台の19位に沈んでいる。ちなみにシトロエンの上級版といえるDSはこの上半期、171台しか売れていない。

 フランスの各メーカーが作っているクルマはどれもなかなかいい出来であり、走りに関しても秀逸だと思うのだが、なぜ、日本ではドイツ車のようにバカ売れしないのだろうか? いやバカ売れとまではいかずとも、せめてジープぐらい(2025年度上半期で4224台)は売れてもおかしくないと思うわけだが、なぜ売れないのか?

 答えは「ことクルマに関しては、日本人とフランス人のセンスがまったく異なっているから」ということになるのだろう。あくまでもセンス(感覚、好み)の問題であり、機械としてのよし悪しに基づく問題ではないのだ。

 たとえば食べ物に関してのセンスは、日本人とフランス人とはわりと近しい部分もある。フランス産のバターやチーズ、パンやワインなどは日本でも大人気であり、筆者の数激少なフィールド調査によれば、和食を好むフランス人もけっこういるようだ。また、ファッションや雑貨の分野でも、いわゆるフレンチ系のテイストをお手本にしている日本人はかなり多いはずであり、映画も、最近でこそやや微妙だが、過去には一部のフランス映画が日本人に大きな影響を与えた。

 だが、両国のクルマに関するセンス(とギャグセンス)は絶望的に異なっていて、なかなか大衆レベルで混じり合うことがない。

 最近でこそフランス車も汎EU的なデザインになってきているが、ひと昔前のルノー車の地味すぎるデザインや、シトロエン車の謎にアバンギャルドなデザインは、筆者などは「そこがイイんだよ、逆に!」というニュアンスで好意的にとらえていたが、あれを標準的な日本国民に「イイ!」と思わせるのは無理がありすぎた。しかし、標準的なフランス国民はあれを「イイ!」と素で思っていたわけで、そこにセンスの断絶、あるいは国境があるのだ。

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