
この記事をまとめると
■物流の世界において2024年問題が叫ばれたが今度は2030年問題がやってくる
■ドライバー不足による物流の停滞が課題となっている
■自動運転などで負担軽減を狙うがまだ実験の段階で先行きは不透明だ
本当に大変なのはこれからやってくる2030年問題
2025年になった現在もなお、トラック業界の危機的問題として議論されている「物流の2024年問題」。これによりトラックドライバーの過酷な労働環境や荷待ちや運送料金の不当な値下げなどの荷主と運送会社・ドライバー間の構造的問題が明るみになり、その改善策が業界はもとより行政や国会も動かすことになり、2025年5月の「トラック新法」の成立に至っている。
とはいえ、この2024年問題が現在もなお業界の課題として俎上に上がっているのには重大なワケがある。それは今なおその問題が完全な解決に至っていないのもそうだが、その先に「物流の2030年問題」というさらなる問題が立ちはだかっているためだ。
物流の2030年問題は、物流の2024年に続き、そしてさらに深刻な「本当の物流クライシス」として危惧されている。これは、「2030年には国内で輸送される荷物の34.1%(9億4000万トン)が運べなくなる」という問題で、2024年問題は同年4月に本格適用された働き方改革関連法によるトラックドライバーの残業規制を主因としているが、2030年問題は今後起こることが明らかになっている「少子高齢化」。
とりわけトラックドライバーの高齢化によるさらなる人手不足という構造的な課題が要因となっている。つまり2030年問題は2024念問題よりさらに危機的な問題で、このままではトラック・物流のみならず日本の産業全体が崩壊する可能性も考えられるのだ。
物流の2024年問題はドライバーの時間外労働期間が年間960時間以内に制限されたことで、ドライバーの労働時間が減少。それにより運送会社各社の車両の運用などトラックの輸送インフラが圧迫され、日本国内で輸送される貨物の14.2%(4億トン)は運べなくなるという試算が出されたことが課題となった。
同年4月の労働時間制限のスタートにより、実際にドライバーからは「残業が減り収入が下がる」、運送会社からは「トラック稼働時間の減少により売上が減る」といった切実な叫びが聞かれるようになった。中小の運送会社のなかには、その影響により廃業を余儀なくされる会社もあったほど。