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コロコロ変わると高齢の乗客は対応できないぞ! それでも地方の路線バスの支払い方法が「交通系IC」を離脱して「クレカタッチ決済」「QRコード」などにせざるを得ないワケ (1/2ページ)

コロコロ変わると高齢の乗客は対応できないぞ! それでも地方の路線バスの支払い方法が「交通系IC」を離脱して「クレカタッチ決済」「QRコード」などにせざるを得ないワケ

この記事をまとめると

■路線バスは公共交通機関として地域にとってなくてはならない存在である

■事業者は収益性の低さと運転手不足の影響で資金面のやりくりに苦労している

■公共性の高い路面バスは客の利便性と決済方法の運用コスト両立が難しい問題だ

地域にとってなくてはならない公共交通機関の路線バス

 公共交通機関である路線バス。地域住民の足として、各地で活躍をしている。地方自治体が運営する公営のほか、民営バス事業者が運行を担っているものも多い。地域にとってなくてはならない存在ではあるものの、事業としての収益性は必ずしも高くはない。加えて、近年は運転手不足も深刻化しており、いずれの事業者も人やお金のやりくりに四苦八苦しているという。

 路線バスが走り始めたころから1960年代前半ごろまでは、運転手と車掌2名での乗務が主流であった。料金は現金、あるいは車内で購入した切符で精算する。料金収受・切符販売などは車掌の業務だったのだ。

 1960年代後半ごろから、合理化の観点からワンマン化が進み、料金収受は運賃箱で行なうようになっていった。ワンマン化当初の支払い方法は、現金・切符(主に回数券、販売窓口などであらかじめ購入)・定期券だけであった。1988年に神奈川中央交通で、プリペイドカード式乗車券が導入されたのを皮切りに、これが新たな支払い方法として全国に広がっていった。プリペイドカード式乗車券が導入された理由は以下のとおりだ。

・料金収受の簡便化
・乗客の利便性
・プレミアムの付加などによる利用促進
・現金の盗難・横領リスク低減

 すなわち、切符による料金収受や現金の扱いを縮小することで、乗務員の業務負担軽減とコスト削減を狙ったのである。しかし、2007年にICカード式乗車券が登場したことにより、2010年ごろにはプリペイドカード式乗車券は姿を消した。結果、現在では現金・ICカード(スマホを含む、料金決済・定期券)が主な路線バスの料金支払い方法になっている。料金箱に現金を入れるか、ICカードを「ピッ」とするだけで済むようになり、料金収受は簡便化されたように思われた。

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