
この記事をまとめると
■ホンダが開発を加速させているe:HEVの次世代モデル試作車に試乗
■新プラットフォームでは操安性・快適性を向上させてしならせるボディで接地性を高めた
■軽量化と次世代パワートレインにより走りの質感は大幅に向上し燃費も10%改善される
しばらくはe:HEVがホンダの主力となる
黎明期から普及期に移行し始めているとしてBEVの開発に力を入れているホンダだが、その一方で現実的かつしばらくは必要不可欠な技術としてハイブリッドの開発にも余念がない。同社のハイブリッドシステムであるe:HEV搭載車は2023年に65万台が販売されたが、2030年には130万台を目指す計画で、13車種が発売されるという。
現在のモデルは、1.5リッターエンジンの小型e:HEVと2リッターエンジンの中型e:HEVがあるが、2027年以降には次世代へと切り替わる。また、2020年代後半にはV6エンジンを搭載した大型e:HEVも登場する予定となっている。
今回は中型e:HEVのプロトタイプに試乗。偽装を施した表皮の下は、切った貼ったを施したであろうボディで、ベースがシビックなのかアコードなのかにわかには判別がつかない、いかにも開発車両というモデルを、ホンダの栃木プルービンググランド(テストコース)のワインディングコースで走らせた。
次世代の中型e:HEV用のエンジンは現行ユニットと同じく2リッター直噴ながら、厳しさを増す排ガス規制に対応しながらも出力を落とすことなく、いわゆる目玉と呼ばれる高効率領域を拡げて、燃費改善と走行性能の進化が果たされている。
スタートボタンを押してシステムを立ち上げ、エンジンが始動すると思いのほかスポーティなサウンドに驚いた。おそらくシビックかアコードを想定した実用セダンのわりに音量も大きめでワイルドなのだ。ただし、これは開発車両特有のもので、このままの音量では市販化できないとのこと。少し静かになるのは致し方ないが、音質は近いものにしてほしい。できればモードで切り替わるともっとうれしい。
パワートレインから受ける印象はプレリュード用を進化させたようなフィーリングだ。モーター駆動を基本とするe:HEVゆえに低速域からたっぷりとしたトルクがあって頼もしく、速度が伸びていっても巧みなエンジン制御によって頭打ち感が少ない。有段ギア車のようにエンジン回転が上下してシフトチェンジを行い、さらにシフトショックなどの演出もあるからだ。
さらに、S+シフトとスポーツモードの組み合わせではアクセルオフでもエンジン回転数がキープされるからコーナー立ち上がりのレスポンスが良好で、e:HEVをスポーティなパワーユニットに仕上げている。
