
この記事をまとめると
■自動車メーカーは1車種ごとに「何年で何台売るか」を厳密に計画して車両開発する
■販売計画はこれだけの台数を売れば利益を出せるという意味が含まれる
■レクサスLFAの販売計画から推測すると約200億円超のもち出しがあったと予想できる
クルマは何台売れれば収支が合うのか
クルマを開発するとき、メーカーは厳密な計画を立てる。きわめて単純な表現をすれば「車両価格×販売総台数」が、その車種の販売によって得られるメーカーと販売会社の売り上げだ。そこから開発費用や人件費など、さまざまな出費が差し引かれる。その上で最終的に利益を出さねばならない。
したがって、開発するときは「何年間に何台を売るのか」を明確にする。計画どおりに売れないと、単純にいえばその車種の収支が赤字に近付く。その対策として、当初の計画よりも長く売る場合も生じる。当初の計画となる5年で終了し、開発費用などを償却できないのであれば、収支が合うまで生産と販売を続ける。
何台売ればいいかについては、車種によって異なる。たとえば軽自動車は、ライバル車同士の競争も激しい薄利多売の商品だ。1台当たりの利益が少なければ、生産台数を増やす必要がある。
国内販売1位のホンダN-BOXは、1カ月の販売計画を現行型では1万5000台(1年間に18万台)と設定している。現在の販売計画は、単なる目標ではなく公約だ。これだけの台数を売れば、利益をしっかり出せるという意味が含まれる。先代N-BOXは約6年間販売しており、現行型も同等だとすれば、18万台×6年で108万台を販売すれば収支が確実に見合う。
ちなみに2024年のN-BOXの届け出台数は20万6272台であった。18万台を上まわるが、販売計画は生産と販売を終了するまでの台数だ。モデル末期になって売れ行きが下がることも考慮すると(N-BOXは下がらないことも多いが)、発売されてから3年間くらいは、販売計画台数を上まわる必要がある。発売直後から販売計画台数をギリギリで達成したのでは、収支が合わなくなる可能性が生じる。
