
この記事をまとめると
■地震が発生し津波警報が発せられたときに避難の前提となるのは徒歩だ
■まずは安全に停車できる場所までゆっくり走ってクルマを止めることが大切だ
■どう行動すべきかを意識しておくことは有効な行動をとることにつながる
まずは安全な場所にクルマを停車させることから
地震が発生し、津波の危険が想定される「津波警報」が出されたとき、避難の前提となるのは徒歩であり、できるだけ高い場所を目指すことが重要だ。
とはいえクルマに乗っているときは、地震さえ気づかないことがあるし、気づいた場合でも津波の危険の有無はなかなか判断しにくいだろう。もちろん、海岸近くなど地元で津波の懸念が普段から認識されていれば備えられるかもしれないが、慣れない土地での対処は難しい。
地震の揺れを確認する方法として、普段めったに揺れることのない電柱や電線、あるいは信号機などが揺れていれば、それは地震の可能性が高い。樹木は風で揺れるが、それらの社会基盤や道路施設は風で揺れることがめったにないと考えられるからだ。
また、大地震の際には、スマートフォンに警告が発せられるはずだ。
そのうえで地震に遭遇したら、まず速度をゆっくり落とし、クルマを左に寄せて停車する。そしてラジオをつけたりスマートフォンを見たりして、ニュースの情報を手に入れる。運転中にスマートフォンを注視することはできないので、まずは安全に停車できる場所までゆっくり走り、クルマを止めることが大切だ。
本来は徒歩での避難が前提だが、やむを得ずクルマで移動せざるをえない場合もある。たとえば、避難場所までの距離が遠い、あるいは、高齢者や障害者、乳児など、徒歩での素早い移動が困難な人と一緒の場合などだ。
そのとき、クルマでの避難を妨げる要因が発生する可能性がある。東日本大震災における統計では、クルマの集中による渋滞で移動に時間を要したり、移動が困難になったりした事例が、内閣府の実施した対面調査によると34%に及んだ。渋滞の懸念が3分の1以上あるということだ。
次いで、地震の影響で道路が破損したり、道路上にがれきなどがあったりして通れなくなった事例が17%あったという。5分の1近い確率で、通行不能な区間が現れる可能性があるということだ。
それ以外にも、もしクルマに乗ったまま津波に巻き込まれると、窓ガラスやドアは水圧などによって人の力では開けられなくなることを知っておくべきだ。窓ガラスを割る道具を使って、クルマから脱出できたとしても、周囲はもはや歩いて非難するのが難しい状況になっている懸念は大きい。
では、クルマを放棄し、徒歩で非難する際、クルマの処置はどうすればいいか。
道路の左端や空き地に駐車しイグニッションを切る。そのまえに、窓ガラスは閉じておく。緊急車両などの通行のため、移動させる必要が出る場合を考え、キーは車内に残しておく。ドアロックはかけず、開けられるようにしておく。もちろん、貴重品はもち出す。そしてハザードランプを点灯させる。
クルマでも徒歩でも、避難の途中で津波が寄せてきた場合、水位の上昇により波が川を遡上することも考えられるので、避難の際は川沿いの道も避けるべきだろう。
毎日ビクビクと恐れる必要はないが、海の近くや、川沿いをクルマで走る際は、万一の地震やそれによって起こる可能性のある津波のとき、どう行動すべきかを意識しておくといいだろう。意識することで、落ち着いて有効な行動をとれるはずだ。
