
この記事をまとめると
■世界陸上2025にてHonda 0 SUVそっくりのRCカーが投擲物を回収する役目を担った
■RCについては未経験となる開発陣が半年で走行性能と安全性を両立させ成功にこぎつけた
■実車の技術を応用したRCカーの操縦を元「RCカー少年」の桂 伸一さんが体験
東京開催となった世界陸上でRCカーが大活躍していた
「東京2025世界陸上」(9月13〜21日)はご覧になっただろうか? 世界陸上は国立競技場のトラックサイドにホンダの新たなBEV(電気自動車)、ゼロからのスタートを意味するホンダ0(ゼロ)SUVの実車が展示されている一方、インフィールドではそれと同じカタチをしたミニチュア版が走りまわるという、じつにホンダらしい挑戦がされていた。
模型好き、RCカー好きには、それがRCカーであるだろうことは容易に想像がつく。アレはなんのためにいるのだろう? そう思うと気になって仕方がない。
ホンダ広報部は、すぐに回答をくれた。インフィールドで行われる投擲(とうてき)競技、つまり「槍投げ」「ハンマー投げ」「円盤投げ」などの選手が投げた投擲物を回収して競技者のもとに戻す。それが、ホンダ・ゼロSUVのRCカー(以下、ゼロRCカー)に与えられた役まわりだった。
そうとわかると、走りまわる働く姿がけなげで可愛いく見えてくる。ぜひ実物を見たいと思い、ふたたびホンダ広報部に問い合わせると、取材要請はあっさり許可された。しかも取材は初だそうで、開発したホンダ技術研究所の試作ブロック(部門)も取材を歓迎してくれるとのこと。もちろん速攻で飛んで行った。
筆者は約50年前に 「RCカー少年」 だった。8分の1スケールのエンジンレーシングカーにのめり込み、レース活動をして世界選手権には5回参戦した。時が流れ、世界的に8分の1エンジンカーが大ブームのころは、イタリアのメーカーSG社と契約してプロとしてレースに出場。レース参戦と活躍がそのメーカーの格好の宣伝材料になるからだ。
そんなRCカー経験者からすると、国立競技場のインフィールドの芝の上を走りまわるゼロRCカーの構造や、その操縦性が気になる。ゴルフ場などでご存じのように、芝には芝目があり、その上を直進させることは難しいはず。しかも投擲物を載せて、その重さと、槍であれば長さも含めて、前後左右と上下の重量バランスが取りにくいと想像すると、操縦性も難しいはずで、そこをどうしたのか? ゼロRCカーでどう対応できる構造にしたのか? まさに、実車を試乗するときと同じ目線と感覚で観察した。
ゼロRCカーは実車の4分の1スケールだが、想像よりも大きかった。この4分の1スケールのゼロRCカーが4台集まると実車1台ぶんになるものか!? 「数字で換算すると間違いなく4分の1になります。」とのこと。
