
この記事をまとめると
■ドイツでは自動車産業は国の基幹産業のひとつだ
■日本車や韓国車はドイツ国民の目線で見れば輸入車にあたるが維持費は安価だ
■日本におけるドイツ御三家の維持費は本国においても高額になる傾向にある
ドイツにおける輸入車の維持費事情
ドイツは日本同様に自国で数多くの自動車メーカーを所有し、自動車産業は国のもっとも大きな産業のひとつでもあるが、各種関税や付加価値税(日本の消費税に相当)が高額とはいえ、外国の自動車の参入にも門戸を広げており、ドイツ国内ではさまざまな国の自動車が走っているのを目にする。
とくにコロナ禍を経て日本と同様に酷いインフレに悩まされるドイツでは、新車価格も軒並み跳ね上がり、購入には戸惑ってしまう昨今。
ドイツ国内で販売されている自動車メーカーのなかで、ドイツ車ならばフォルクスワーゲンやオペル、外国製となると中国、韓国、日本、フランス、イタリア、スペイン、ポーランド、チェコのメーカーが、比較的手に入れやすい価格帯のモデルの販売をしている。
そのなかでもとくに韓国や日本のメーカーは、ドイツメーカーにはないようなお得な長期保証を提供しており、パッケージを上手に組み合わせれば、実質的に次の車両へ買い替えるまでは車検や自動車保険以外の費用がほぼ不要というプランも可能とあることから、新車購入時に販売員とじっくりと得策プランを練ることが維持費の安さに繋がるようだ。
私の知人の自動車関連のジャーナリストのドイツ人KIAオーナーは、7年保証・整備付きのプランとともに、7年置きにKIAの新車に買い替えているのだが、なぜKIAにこだわって購入するのか? それほどにKIAが魅力的な車両なのだろうか?
──その理由には、保証期間中、すなわちKIAを所有している7年間は、車検や自動車保険とガソリン以外の出費がほぼ不要だからという。デザインやドライブフィーリングにフォーカスを置いてクルマ選びをするのではなく、あえて徹底的に維持費の安さにこだわってKIAを選んだという合理的な考えもある。自動車関連のジャーナリストとして、日頃からあらゆるクルマを接しているからこそ出した決断なのかも知れない。
上記に挙げた国々のメーカーのなかで、プレミアムモデルを除けば、車両本体価格はもちろんのこと、パーツや整備費用や保険代などの維持費も、輸入車とはいえドイツ御三家と比較すると安く、日本からみた「外車は維持費が高い」の逆の構図は一概には当てはまるとはいい難い。モデルによれば「外車は安い」という方向にも向く。むしろ、維持費を徹底的に押さえるには「外車」の廉価モデル+長期保証と整備パッケージを購入したほうがいいのかも知れない。
なお、日本の消費税は10%だが、ドイツではそれに相当する付加価値税が19%。近隣諸国は軒並み20%を超えるがゆえに、新車・中古車にかかわらず自動車を購入する際や部品購入、整備、車検や保険など、あらゆる費用に日本よりも高額な税金が課されるのが悩ましいところでもある。
またコロナ禍以降には修理や整備費用の値上げのほか、今年からは一斉に自動車保険が約20%も値上がりするなど、維持費の捻出にも頭を悩ませることとなっている。ドイツでは中古や新車、法人やプライベートにかかわらずカーリースも非常に盛んである一方で、都市部では乗り捨てのカーシェアは有り余るほどに乱立しているだけに、必ずしもクルマを所有する必要はないのかも知れない。
ドイツでは、クルマの利用頻度や予算によってさまざまなカーライフを選択出来る時代になっている。
