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スマホアプリがタクシー業界を変えた! 利用者にも運転士にも圧倒的なメリットしかないそのカラクリ

スマホアプリがタクシー業界を変えた! 利用者にも運転士にも圧倒的なメリットしかないそのカラクリ

この記事をまとめると

■スマホアプリ導入で早朝配車が困難だった時代からタクシーの利用環境は大幅に改善された

■運転士はアプリ需要を意識した待機や独自戦略を構築し効率的な営業に転換

■地域内で利用可能なアプリが増えたことでユーザーの行動や支出にも変化が生まれている

アプリ需要を前提とした営業へ

 筆者は月に3、4回ほど早朝に自宅から最寄りのターミナル駅までタクシーを利用することがある。スマホアプリ配車のなかったころに早朝利用したかった時は、地元のタクシー会社へ前日に電話をして時間指定予約を行っていた。ところが、タクシー運転士の不足が顕在化すると予約ができなくなった。そうなってからは電話で配車要請すると決まって「タクシーがいない」といわれていた。

 スマホアプリ配車がはじまった当時は、加盟しているタクシー事業者が少ないこともありマッチングまでにかなり時間がかかっていたが、ここのところは10分以内には迎えにきてもらえるようになった。筆者が利用しているサービスへの加盟事業者が多くなったことも背景としては大きいようだ。さらには従来の隔日勤務では主流だった未明から早朝での帰庫するという勤務シフトが変わってきていることも影響しているようである。

 新型コロナ感染拡大以降、以前の夜の街のにぎわいは戻りきっていない。法人接待の減少傾向が続くなか、個人での集まりは堅調に戻っているようだが、あくまで「遅くても終電厳守」となることが多いので、タクシー需要が戻りきるのにも時間がかかっているのである。そのなか、スマホアプリ配車の普及により朝の通勤時間帯のニーズが増えているため、朝を稼ぎ時とし、朝の通勤時間が過ぎた昼近くに帰庫するというシフトをメインとする事業者が多いようである。

 そして、運転士自体もスマホアプリ配車に主眼を据えた乗務を行うようになってきた。前述した筆者の早朝利用では、短いスパンで同じ運転士のタクシーが迎えにきた。しかも、筆者居住地のとなりの市をメインに運行している事業者のタクシーなのである。運転士いわく、「たまたまこの時間に通りかかり、このあたりとターミナル駅の間の利用に何回か遭遇したことがあるので、早朝は需要があると思い待機していました」ということで、朝帰庫するシフトの「締め」として、筆者の近所のコンビニで早朝待機するようになったと話してくれた。

 以前は、迎えに来てほしい場所まで目的地となる最寄りターミナル駅からタクシーがくることが早朝でもほとんどだったのだが、ここのところは自宅から比較的近い場所から迎えに来るようになったので、迎車時間の短縮に繋がっているとともに、多くのタクシー運転士が配車マッチングを狙って周辺で待機しているようである。

 筆者の居住地は田畑も目立つ場所なので、東京都心のように流し営業がほぼ成立せず、駅前から目的地、または無線配車対応がメインであった。とくに駅前乗り場からの利用だと、ふたたび駅前に戻るまでは空車のままということも多かったのだが、スマホアプリ配車となると、駅前でお客を待たなくても出先で効率的に稼げるようになり、運転士によっては駅前に固執しない独自の稼ぎ方を編み出すようになったと筆者は見ている。

 筆者の居住区域では当初はひとつのスマホアプリ配車サービスしかなかったのだが、いまでは合わせて3つのサービスが利用できるようになった。あまりに便利なので頻繁に使うようになり、あとで支払い明細を見て驚いたこともある。いままで諦めていた早朝の自宅からのタクシー利用がなんの心配もなくできるようになったことには、デジタルツールにただ感謝するばかりである。

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