WEB CARTOP | 独自の企画と情報でクルマを斬る自動車メディア

幼稚園の送迎バスって白ナンバー? 緑ナンバー? 正解は「両方ある」だった

幼稚園の送迎バスって白ナンバー? 緑ナンバー? 正解は「両方ある」だった

この記事をまとめると

■幼稚園や保育園の送迎バス(園バス)には白ナンバーと緑ナンバーの車両がある

■白ナンバーは無償送迎として自家用扱いで運用され緑ナンバーは外部委託のケースが多い

■制度上の区分は違っても園バスの安全配慮に差は生じないといえる

運用方式によってナンバーの色が変わってくる

 ナンバープレートには、白と緑のものがある。これは、自家用か営業用かによって分けられている。いい換えれば、有償で人や物を運ぶときには緑ナンバーの車両でなくてはならず、運転免許も2種でなければならないということだ。これに違反して白ナンバー・1種免許で有償運輸を行えば、厳しい罰則や行政処分が科せられることになる。

 ところが、幼稚園や保育園で使用されている送迎バス(園バス)には、白ナンバーのものと緑ナンバーのものが存在する。幼稚園や保育園によって園バスに対する考え方や運用の仕方が違うので、その理由は必ずしもひととおりではない。ここで先におさえておかなければならないのは、緑ナンバーの車両はコストがかさむということだ。

 緑ナンバー車は税金が自家用車より安く設定されているが、車検期間が短い上に3カ月点検を受けなければならない。さらに、保険料も高く設定されている。有償で人や物を運ぶということは、それらに対して重い責任を負うということだ。それを果たすためには、日ごろから車両をきちんと整備しておかなければならないし、万一に備えて充実した保険に入っておくことが必要である。事業収益から相応の負担を強いられたとしても、それは仕方のないことなのだ。

 ところが、保育園や幼稚園は園バスで儲けているわけではない。そもそも、営利事業ではないからコストはできるだけ抑える必要がある。そのために、送迎を無償にして白ナンバーのバスを使用しているのだ。なかには、バス代を徴収している例もあるようだが、これは運賃という位置づけではない。あくまで、バスの運行経費負担などといった名目になっていて、有償輸送ではないということだ。

 これに対して、緑ナンバーで送迎バスを運行しているところもある。運賃を徴収しているのでそうしている場合もあるが、それは少数派だ。多くは、運輸事業者に外部委託をしているからである。白ナンバーの場合、送迎バスは自家用なので園で運転手を雇わなければならない。

 職員が兼任しているところもあるが、専任者を抱えればそれだけ人件費がかさむ。加えて、昨今では運転手の確保も難しくなっている。そこで、バス会社などに依頼をすることになるのだ。バス会社は園から事業として受託することになるから、園児側が運賃を払っているか否かにかかわらず緑ナンバー車で対応しなければならない。

 例はあまり多くないが、もうひとつ園バスが白ナンバーで送迎するパターンがある。それが、自家用有償旅客運送だ。これは、道路運送法80条にある「公共の福祉を確保するためやむを得ない場合であって国土交通大臣の許可を受けたとき」に、自家用車両による有償運行が認められる規定を利用したものだ。これにもとづいて運行されるバスを、とくに「80条バス」と呼んでいる。

 このように、園バスはさまざまな事情から白ナンバーや緑ナンバーのものが存在している。どちらのナンバーが付いていても、子どもたちを乗せるバスなので安全には細心の注意が払われていることは間違いない。園バスに限っては、ナンバーの色の違いがサービスやクオリティに影響することはないと考えてよいだろう。

画像ギャラリー

WRITERS

モバイルバージョンを終了