
この記事をまとめると
■新車ディーラーの数は1980年代からそれほど変化はしていない
■店舗の数に対してスタッフ不足が顕著になりつつある
■今後は商談などをセルフサービスで行うような方式も有効かもしれない
新車ディーラーの在り方が変わりつつある
長引く実生活での不景気状況、少子高齢化などを受けての日本国内における新車販売市場の縮小傾向、そして新車ディーラーにおいても働き手不足が深刻となり、新車ディーラーを取り巻く環境はけっしてよくないといっていいだろう。なので、筆者の生活圏だけをみても日系ブランドは1980年代以降、ここ最近まで目立って販売拠点数の変化はなかった。つまり、市場環境がネガティブに動いているなかでも、販売規模はほぼ全盛期のまま残されているともいえる状況であったのだ。
その一方で、筆者の居住地域は北関東に片足を突っ込んだような場所でありながら、輸入車ディーラーの拠点数が増えたり、バイパス沿いなどへディーラーを新築移転する動きが目立っている。
かつて輸入車といえば東(東京)、名(名古屋)、阪(大阪)での販売が圧倒的に多いとされていた。これには神奈川や兵庫など近隣県も含まれるのだが、そのなか多くの地方都市では、輸入車に乗っていると「羽振りがいいのを見せつけている」とか、「変わった人」みたいに見られることも多く、そのような地域で輸入車に乗るのはかなり勇気が必要だった。
しかし、バブル経済期にサラリーマンが輸入車に乗るようになり一気に敷居が下がり、その後は価値観の変化や際立った全国的な所得格差も広がり(金もちであることを隠さなくなった)、日本でも輸入車需要が全国的な広まりを見せたのである(その割に市場規模はそれほど拡大していないのだが……)。
よって、地方でもニーズがあるので、輸入車ブランドはいまもなお、新規市場開拓も視野に入れて地方で拠点拡大を続けているのである。
日系ディーラーで拠点整備の動きがあまり見られないのは、市街地店舗への規制も大きいという背景もある。拠点開設後の法令整備により、同じ場所でディーラーが店舗を建て替えしようとしても許可が下りないケースが多いそうで、それこそバブル経済のころに建設した建物のまま営業を続ける店舗も少なくない。筆者の居住圏では60年近く同じ建物のまま営業を続けるディーラーもあるほどだ。
そのなか、開設時には整備されたばかりのニュータウンに囲まれ、若い家族が続々入居して新車需要も旺盛だった地域も高齢化が進み、商売が成り立ちにくくなった拠点もあるという。とくにこのような事案は、筆者も数多く聞いており、かつては集客効果の高かった店舗のあるニュータウンが高齢化して集客効果が鈍ったので、近隣で新しく整備されたニュータウンへチラシを配っているとも聞いたことがあるほどだ。
しかし、だからといってディーラーを活気のある場所へ安易に移転させることも難しい。家の近くにあったからと、そこのディーラーで新車への乗り換えを続ける人もまだまだ多く、店舗移転はそのような人たちを中心に、一定数のお得意さまを失うことになるのである。また、個人情報管理の厳格化から、管理顧客ひとりひとりに移転先でも引き続き付き合ってもらえるのかという確認も必要になるなど、移転そのものの煩雑化も目立っているそうだ。それでも、ここのところ郊外への移転や、移転を伴わない閉店も目立っている。
前述したような背景で老朽化などで集客効果を失う店舗が目立つなか、セールスマンやメカニックといった働き手を十分確保できなくなってきたことも、閉店を加速させているようである。いよいよ店舗の統廃合に手をつけなければならない事態となっているともいえよう。
