
この記事をまとめると
■日産スカイラインの歴代モデルからベストなデザインをもつモデルを選出
■日産デザイン黄金期に誕生した8代目R32は面造形と走り志向で独自性を示した
■新世代の象徴となった11代目V35クーペは硬質な造形で日本車離れした存在感を放つ
歴代スカイラインでもっとも美しいのは?
長寿モデルをはじめ、何代かに渡って販売されるモデルはそれぞれの時代を反映させたコンセプトが盛り込まれており、もちろんそれはスタイリングにもいえること。そこで、そんな各歴代のなかからあえてベストデザインを選んでみるのがこの企画です。なにしろ個人的な意見ゆえ、苦情反論は受け付けませんので悪しからず(笑)。
本シリーズ9回目となる今回は、日産のスカイラインを取り上げたいと思います。1950年代の初代から現行の13代目まで、まさに長寿モデルとして各世代に多くのファンをもつ超人気車です。そんなこともあり、今回はベストデザインに加え、次点も加える変則版でお届けします。
で、そのベストデザインはズバリ8代目(R32型)とします。ご存じのとおり、同車が登場した1989年前後は日産デザインの黄金期であり、初代プリメーラ(P10型)や4代目フェアレディZ(Z32型)、5代目シルビア(S13型)などまさに秀作ぞろい。スカイラインもその例に漏れず、極めて意欲的なスタイリングで登場したのです。
先代である「セブンス」の豪華路線の反省として、ホイールベースはそのままに全長と全高をサイズダウン。しかし、ロングノーズはそのままとしたプロポーションは純粋に走りを意図したものです。歴代唯一のピラードハードトップによるキャビンはもちろん、トランクルームサイズも最低限に割り切ったパッケージは、居住性を同時期のローレルに任せたことでキッパリ割り切ったもの。
「線ではなく面」で造形されたボディも先代までと大きく異なるところで、まさに面で構成されたグリルレスのフロントがユニーク。フロントホイールアーチから始まるキャラクターラインも面で構成され、豊かなリヤフェンダーに溶け込む処理も秀逸です。一方、楕円のカットラインで囲まれたテールランプは独特のメカニカルな雰囲気を醸し出し、リヤビューを引き締めます。
インテリアのまとまりのよさも同時期の日産車に準じます。弧を描くクラスタースイッチが美しいメーター周辺の造形や、引き締まったステアリングホイール、ツイード生地の上質なシートなど見どころ満載。
当時の若手チームによる提案は、古典的な要素と現代的な造形を組み合わせることで独自性を生み、さらに特有の「クセ」を感じさせる点が見事。単に流麗でスポーティなセダン・クーペでなく、唯一無二の存在感が8代目の刮目点なのです。
