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いまじゃモノコック全盛だけどかつてはパイプでフレームを作ってたのよ! 昔のレーシングカーでみられた「スペースフレーム」とは (1/2ページ)

いまじゃモノコック全盛だけどかつてはパイプでフレームを作ってたのよ! 昔のレーシングカーでみられた「スペースフレーム」とは

この記事をまとめると

■レーシングカーのシャシーは軽量・高剛性を求め進化しアルミや鋼管の時代を経てきた

■スペースフレーム構造は鋼管を立体配置した高性能フレームで多くの名車が採用していた

■1980年代以降はカーボンモノコックが主流となりスペースフレームは歴史的技術となった

最先端から歴史遺産へと移り変わったシャシー技術

 かつては現役最先端メカニズムだったものが、時代の流れとともに歴史の1ページにとどまるだけの存在になってしまったものがいくつかある。とくに、性能・機能が最優先されるレーシングカーの世界では、しばしば目にすることがある例、といえるだろう。

 車体を構成するシャシー構造もそのひとつだ。シャシーは、もともとエンジン/ミッションやサスペンションを取り付ける土台として考えられ、作られてきた。もちろん、ドライバーを乗せるキャビンもシャシーの役割に含まれているが、装着物や搭載物をしっかりと支え、それらが所期の性能を発揮できるよう作られることはいうまでもない。

 なにしろ、レーシングカーの生命線は速く走ることに尽きる。ライバルより1秒でも早くゴールラインを横切ることが宿命付けられているからこそ、当然ながらシャシーに求められる性能も、レーシングカーの必須条件である軽量、高強度、高剛性が軸となる。

 さて、現代のレーシングカー(とくにトップカテゴリー)だが、NASCARのような特殊例を別とすれば、ほぼそのすべてはカーボンファイバー(CFRP)製モノコックシャシーが占めている。素材としてのカーボンは、軽量・高強度であることは古くから知られ、レーシングカーの部材としても使われてきたが、車両の骨格となるモノコック全体がカーボンで作られた最初の例は、1981年のマクラーレンMP4/1(F1)である。

 それ以前のレーシングカーは、1960年代中盤から一気に普及を見せはじめたアルミ製モノコックと市販車の延長線上にある鋼鈑溶接製シャシーの発展型が受けもってきた。当然ながら、アルミモノコックは軽量/高剛性という特徴があり、F1では3リッター時代となった1960年後半にはすべてこの型式となったが、レーシングスポーツの領域では、自動車の発達とともに進化してきた鋼板製シャシーの最終進化形となるスペースフレーム構造が、1980年代初頭まで使われてきた。

 スペースフレームとは、応力の発生に応じた形で鋼管(パイプ)を配列し、それらを溶接で立体的(3次元)に組み上げた構造のフレームで、その形状が立体的であることからスペースフレームと呼ばれているが、何本ものパイプを組み合わせて作られていることからパイプフレーム、あるいはマルチチューブラーフレームとも呼ばれている。生産性が悪く市販車のフレームには向いていないのだが、軽量・高剛性という特徴がレーシングカーのフレームに最適であることから使われてきた構造だ。

 歴史は古く、自動車用(発端は建築構造と考えてよい)としては、すでに1920年代終盤に登場しているが、本格化するのは第2次世界大戦後、1949年に登場したチシタリアグランプリ(別名ポルシェ・タイプ360、フェルディナント・ポルシェ設計)あたりからと見てさしつかえないだろう。

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