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スクーターにSUVにコンパクトカーにアメリカンバイクが全部同じ名前って……ホンダ「ジャズ」の名称使い回しすぎ問題!

スクーターにSUVにコンパクトカーにアメリカンバイクが全部同じ名前って……ホンダ「ジャズ」の名称使い回しすぎ問題!

この記事をまとめると

■新型プレリュードは最初からプレリュードとして開発されたわけではなかった

■名付けで成功した例がある一方でこれまでにさまざまなモデルに与えられていた車名がある

ホンダ「ジャズ」にはコンパクトハッチとSUVと原チャリの3タイプの乗りものが存在する

人によってイメージする形が大きく異なるホンダ「ジャズ」

 24年ぶりの復活を果たしたホンダ・プレリュードが売れているそうだ。しかしこのクルマ、開発当初からプレリュードの後継モデルとして開発されたわけではなかったことを、ホンダは明かしている。

 スポーティなクーペのスタイリングが与えられた同車は、名付けのときにたまたま「プレリュード」を名乗るモデルがなかったことで、「プレリュード」になることができたのだ。多くの人にとって、プレリュードは流麗なフォルムをまとったクーペであり、また乗っているだけでモテたと伝説にすらなっているデートカー。そしてそのイメージに、24年ぶりに復活した新型プレリュードはぴったりとハマった。もし「プレリュード」を名乗ることができていなかったら、ここまでのヒット作にはならなかったかもしれない、いやきっとヒットしなかっただろう。

 このように、クルマにとって車名は発売後の売り上げを大きく左右するほど重要なものであることは間違いなさそうだ。にもかかわらず、もしかして適当に名付けられたのではないかと邪推したくなるようなモデルもある。その代表格が、ホンダ「ジャズ」ではなかろうか。

 ホンダ「ジャズ」と聞いてどんなモデルを想像するだろうか? コンパクトハッチバック? それともSUV? いやいやもしかしたらアメリカンスタイルの原チャリかもしれない。そしてこれらはすべて正解だ。

 ホンダが初めて「ジャズ」と名乗るモデルを発売したのは、1982年のこと。日本ではトールボーイの愛称で爆発的ヒット作となっていた「シティ」を欧州で発売する際、すでに他社によって商標登録されていた「シティ」を名乗ることができず、やむなく「ジャズ」を名乗った。「シティ」改め初代「ジャズ」は1986年まで欧州で販売されていた。

 次にホンダによって「ジャズ」の名を与えられたのが、1986年に発売されたアメリカンスタイル(クルーザータイプ)の原チャリだった。「ステップを踏みたくなるような楽しさ」をイメージして名付けられたというが、単に「ジャズ」の名が余っていたからではないかと勘繰りたくなるのは考えすぎだろうか。この原チャリの2代目「ジャズ」は、2001年まで15年間も販売されていたから、「ジャズ」を原チャリと認識している人も多いかもしれない。

 その次に「ジャズ」の名を与えられたのが、1993年にいすゞミューのOEM供給を受けて販売されることになった、3ドアのSUVだ。3代目「ジャズ」は1996年に終売、わずか3年のみの販売となり、2代目よりも早く消滅している。1993年から1996年の3年間は原チャリの「ジャズ」とSUVの「ジャズ」が併売されていたことになる。

 そして現在、4代目として「ジャズ」を名乗っているのがフィットの海外モデルだ。これは初代「ジャズ」からの流れを組むものであり、すでにコンパクトハッチの「ジャズ」としては5世代目を数えるヒット作となっているのはご存じのとおりだろう。

 じつは「ジャズ」にはまだ話の続きがあり、2005年にはカナダで5代目「ジャズ」が誕生している。これは、日本ではクレアスクーピーとして販売されていたスクーターで、2009年まで販売されていた。2001年から2009年までの8年間は、グローバルでは再びホンダには2タイプの「ジャズ」があったというわけだ。

 ここまでいろいろなモデルに使いまわされている車名も珍しい。逆にいえば、「ジャズ」という車名には、それだけ多くの魅力があるということの裏返しなのかもしれない。果たして6代目「ジャズ」は誕生することがあるのだろうか? そしてもしも6代目「ジャズ」が誕生したとき、それはどんな形をした乗りものとなるのだろうか? 新たな「ジャズ」の誕生を楽しみに待つことにしようではないか。

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