
この記事をまとめると
■ここ数年でさまざまな分野から酸素カプセルが注目されている
■トラックドライバーのような職業の人にも酸素カプセルは有効だ
■酸素カプセルを採用する運送会社が増えつつある
酸素カプセルがトラックドライバーに好評!
近年、にわかに注目を集めている酸素カプセル。人が生きるためには酸素が不可欠なもの。医療などでも酸素吸入をすることで症状が改善するなどといったことがあり、なにかと健康によさそうなイメージがある。実際に、アスリートの間では以前から重宝されているようで、疲労回復や体調維持に効果があるとされている。
酸素カプセルは、もともと宇宙飛行士に向けて開発されたものだといわれている。カプセル内の気圧を1.1~1.5気圧程度に加圧することで、肺胞に酸素を効率よく取り入れることができ、疲労回復や血行促進を促すことができるのだそうだ。もっとも、名称にこそ「酸素」と謳われているが、カプセル内の気体がすべて酸素というわけではない。機種によっては酸素濃度を濃くするものもあるが、基本的には大気と同じ気体である。
このように、宇宙飛行士・アスリート・医療用とされていた酸素カプセルであるが、その効果が知られるようになるにつれて、さまざまな場所で活用されるようになってきた。そして、そのひとつがなんと運輸事業者なのである。周知のとおり、トラックドライバーの業務は過酷を極める。働き方改革が進み始めているものの、長い拘束時間・量質ともに十分とはいえない休息時間・厳しい労働環境・神経を使う運転業務など、どれひとつとっても疲労の蓄積が避けられない。
こういった状況下で働くのは若いドライバーでも大変なのに、中高年のドライバーが疲労回復に時間を要するのは当然のことである。十分に疲れが抜けない状況で業務を続ければ、いずれ大きな事故にもつながりかねない。そこで、健康管理の観点から福利厚生の一環として、酸素カプセルの導入に踏み切る運輸事業者が増えたのである。
例を挙げると、たとえば茨城県かすみがうら市の「生熊運送」。ここでは、社長の発案で酸素カプセルを導入。利用(1回30分)した社員は「爽快感を得られた」「とても心地よかった」などと感じており、短時間で疲労回復につながっているという。岐阜市の「三栄物資運輸」の場合は、安全対策の一環として導入。肉体疲労の回復・集中力の向上・睡眠不足の解消・非番の日における二日酔いの回復などの効果を期待して、社員が24時間いつでも使用できるようにしているのだそうだ。大阪府堺市の「山信物流」に至っては、運送事業に加えて酸素カプセルの販売事業にまで進出している。
人間の体はなにをするにしても、酸素が重要な役割を担う。たとえば、肉体疲労は乳酸の蓄積によって引き起こされるが、酸素を十分取り込むことで乳酸の生成を抑えることができるのだ。また、傷ついた細胞の再生には大量の酸素が必要だとされている。
運転するときには集中力が求められるが、それをつかさどる脳を働かせるためには多くの酸素が必要になる。酸素は目に見えないから、不足していることを自覚するのが難しい。酸素カプセルを使用することで体に十分酸素を取り込み、リフレッシュした状態でハンドルを握ることが、安全運転にもつながるものと期待されているのである。
