
この記事をまとめると
■マツダはスポーティなイメージをもつクルマを多く抱えている
■販売台数はそれほど多くなく国産メーカーでは8メーカー中6位の成績だ
■最近のマツダ車はクルマ作りが硬直化している傾向にある
マツダは尖りすぎている?
クルマ好きのユーザーに愛されるメーカーとしては、マツダを挙げられる。クルマの本質的な魅力とされる走る楽しさ、内外装のカッコよさを重視した商品が多い。その代表がスポーツカーのロードスターだ。
また、マツダのSUVは実用回転域の駆動力が高いクリーンディーゼルターボを積極的に採用しており、外観デザインでは、前輪駆動車も含めてボンネットが長くスポーティに仕上げている。
しかし販売は低迷する。2025年1〜11月におけるマツダの1カ月平均登録台数は、約1万2600台に留まり、国内販売ランキングは8メーカーのなかで6位だ。1位はトヨタ、2位はスズキ、以下、ホンダ、ダイハツ、日産と続いてマツダになる。
マツダのクルマ作りは、2012年に発売された初代(先代)CX-5から大きく変わった。「魂動デザイン」と「スカイアクティブ技術」に基づくカッコよくて運転の楽しいクルマ作りが特徴で、設計の新しいCX-60やCX-80を含めて、今のマツダのラインアップが構築された。初代CX-5以降のマツダ車は、質感なども高まったと評判がいい。
ただし国内販売台数は堅調とはいえない。初代CX-5が発売される前の2010年に、マツダは国内で約22万台を販売したが、2024年は約14万台に減っている。比率に換算すると、2024年の売れ行きは2010年の64%に留まる。
マツダ車の販売が低調な1番の理由は、マツダのホームページの「カーラインアップ」を見るとよくわかる。外観が似通っているレッドのボディカラーのクルマがたくさん並び、車種ごとの違い、個性がわかりにくい。
つまり今のマツダは、クルマ作りが硬直化している。すべてが同じ考え方に基づいて開発されるから、好きな人は全車が気に入るが、共感が得られないと全車がハズレてしまう。スバルのクルマ作りにも特徴があるが、マツダはさらに個性が強いから好みにあう人も少ない。
正確にいえばMX-30は、走りのイメージが強い「魂動デザイン」の対極に位置するリラックス感覚の車種として開発された。足まわりも乗り心地を重視してセッティングされたが、観音開きのドアなどを採用したから、テーマがわかりにくくなった。販売も低調だ。
ちなみにマツダは、ジャパンモビリティショー2025に、丸みのあるコンパクトカーの「ビジョンXコンパクト」を出品した。これに相当する商品をもっと早く投入すべきだった。今後のマツダには、背の高いコンパクトカーなど、穏やかな雰囲気のクルマが求められている。スカイアクティブの技術を生かしながら、性格の異なる車種をシリーズ化していくことが大切だ。
